「夕焼けを撮影したいのに車両の色がうまく出ません」の質問者が撮影した写真
「夕焼けを撮影したいのに車両の色がうまく出ません」の質問者が撮影した写真

■Q 夕焼けを撮影したいのに車両の色がうまく出ません。(三重県・田中宏樹さん)

助川:難しいですよねえ。

櫻井:これはもうちょっといい場所を選んだほうがいいですね。この光線状態だったらもっといい写真になります。僕ならローアングルを狙って川岸ギリギリまで行きます。

助川:自分もローアングルで見上げ、画面に空を多く入れますね。あと、明暗差をなくすためにハーフNDフィルターを使いますね。フィルターで空の露出を落とし、ニコンではアクティブDライティング、ソニーやキヤノンではオプティマイザーというカメラ内蔵の明暗差を和らげる機能を使う。そうすると車体の色は少し出ますが、このケースではシルエット狙いでいったほうがいいでしょう。

櫻井:あるいはオレンジのフィルターをかけますね。太陽光モードで。どうしても動けない場合はこの富士山みたいな屋根をカットします。電柱も要らないですが。もっとも近鉄であれば本数は多いので、この光線状態で何パターンも撮れるはずです。

助川:「もっと精進を」ですかね(笑)。

櫻井:いっぱい撮ってください。この状況なら僕は真っ暗になるまで撮り続けますよ。

助川:自分もそうです。太陽が落ちてからも勝負は続きますから

――このほか「プロ写真家と呼べるために必要なことは?」という質問もあります。

櫻井:それで飯が食えるかどうかですよ。

助川:はい、以上です(笑)。

■Q 鉄道と花の写真を撮る際、どちらにピントを合わせればいいですか?(埼玉県・ブルーウィングさん)

助川:これは趣味の問題。ただ、うちの事務所としては電車にピントを合わせます。

櫻井:鉄道写真であれば当然鉄道でしょう。

助川:イメージっぽい作風で、電車のライトだけ見せたいときは花にピントを合わせます。さっきの近鉄特急「しまかぜ」の写真も、電車だけに合わせればよかったんですよね。

櫻井:そう。ピントが合うということはうるさいということでもあります。ボケは写真だけの特性。絵画の世界ではあまりありませんから。

助川:ボケは重要です。

櫻井:だから、ポートレートと鉄道写真って似ているんです。被写体への愛情もそう。間違っても顔に電線をかけないじゃないですか。

助川:気配りなんですよ。なんでも盛り込もうとするのは風景写真でもダメですからね。

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