それはすごく感じています。「ファンだったのにこういう活動をしていてがっかりした」と言われたこともあります。でも、「どんどん発信してください」「日本の芸能人は台本でしか話せないと思われているけど、本当はそんなことない」と言ってくれた人もいました。SNSが発達しているので、風向きは少しずつ変わっているのかなとも思っています。

私は28歳で東京に来たので制約される時期がありませんでした。もう少し若い頃に芸能界に入っていれば、イメージ作りをしてもらえたのかもしれないけど、野放しでここまできちゃったんです。それに、スタートが報道番組だったので、自分の言葉を持つ重要性を学んできました。ただ、昔アシスタントのお仕事で「フリップを持ってニコニコしていてください」と言われたときは驚きましたね。今でも、「男の人が同じことを言えばもう少し聞いてもらえるんだろうな」と思うことはあります。

――発言の本質以外で見られてしまう、と。

何かを発言したとき「強いですね」「怖いですね」と言われることがあります。でも、強いことも怖いことも言っていないんです。日本ではどうしても「若い、可愛い、美しい」で女性を評価する傾向にあります。キャリアを重ねることは面倒臭い人になっていくと思っているみたいです。もちろん寛容な人もいるし、このことを真剣に考えている人もいるから、まだ芸能界で生きていけるんですけどね。

「トライ&エラーを繰り返せばいい」(撮影/写真部・掛祥葉子)
「トライ&エラーを繰り返せばいい」(撮影/写真部・掛祥葉子)

――その一方で「若い、可愛いから許されている」と言う人もいます。

そういう言葉もたくさんありますよね。でも、若い人はキャリアも知識も経験もないから、どんどん許されていいと思いますよ。トライ&エラーを繰り返して学んでいく。そうしないと成長できません。それに、若かろうが年を重ねていようが、許されることは許されたほうがいいんです。「もう失敗できない年だもんね」なんて言われてしまったら、一生トライできなくなってしまいます。失敗を受け止めて、一緒に考えてくれる環境があるといいですよね。今は誰かが失敗すると「次のターゲットはこの人だ」とフルボッコにしても良いという空気があるように感じていて、とても怖いです。世の中から「論」がなくなっている気がします。何か問題や失敗が起きたときは、みんなで考えるチャンスなんです。表層や上辺だけを見ていると何もできなくなってしまいます。

今、「SDGs」がよく取り上げられています。これはジェンダーや教育、貧困といった17の目標を世界で2030年までに達成しようという取り組みです。日本も積極的に動いていますが、SDGsシンポジウムの現場に肝心の手話通訳がいなかったりと混沌としています。でも、悪気があるわけじゃなくて知らないだけ。そこを批判するのではなく、「この人を呼んだほうがいいですよ」「寝たきりで来れない人もいるからSNSライブで流しましょう」と誰かが提案すればいいだけなんです。トライして、皆で間違ったら考えればいいんです。

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「LGBTの活動をすると票が減る」現実