写真Bは、大きな“ネコジャラシ”のようなチカラシバ。日が当たる前、朝霜が降りた姿も美しいが、この写真を撮影したときは、すでに太陽が昇っていたため、フレアが発生しないよう、ハレ切りを行って撮影した。明暗のコントラストが高く、クリアな再現が秋穂をいっそう輝かせてくれた。
使用したレンズは、焦点距離24ミリの広角単焦点レンズ。近寄ることで被写体は大きく写る。背景には遠景を取り入れて、遠近感と広がり感を誘い出した。絞り値はf4を選び、背景の山林がなんとなくわかる程度のボケ描写とすることで、ピントの合った秋穂を一段と目立たせた。
写真Cは、ススキが秋風にそよぎ、一方向に穂先がなびいた瞬間を写したもの。日陰の杉林を黒バックに、銀色に輝くススキの穂をねらった。
クリアな再現を目指すのであれば、フレア、ゴーストが発生する確率を高める太陽は、杉林の後ろに隠すか、画面から外してハレ切りを行うが、まばゆい光の強さを伝えたく、強烈な太陽を思い切って画面内に取り入れた。輝くススキの穂とリズムが連動するよう、太陽は画面の上、やや左に配置した。
(写真・文/福田健太郎)
※「アサヒカメラ」10月号から抜粋