昨年6月、政治資金で大量のたまねぎを購入して大量配布した疑惑が浮上し、週刊誌に「利益供与では」と問題視された議員がいる。たまねぎの産地である淡路島を選挙区(衆院兵庫9区)に抱える西村康稔経済産業相(60)だ。昨年の報道時は、明確な公選法違反とはみなされなかったが、お中元と称して、自らの選挙区に近い議員にもたまねぎを配布する行為には、世間から疑問の声も上がった。それから1年。西村氏は今年もたまねぎを議員らに配ったが、後ろめたい気持ちがあったのか、その数は大きく減らされていた。批判を受けても「たまねぎ贈答」をやめない理由について、西村事務所を直撃した。
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6月上旬、西村氏は淡路島産ブランドの「新玉ねぎ」を自民党と公明党、日本維新の会の議員を中心に、500近い議員事務所に配った。
受け取った議員の秘書はこう話す。
「西村事務所の秘書の方が名刺と一緒に、黄色いあみに入った新玉ねぎを持参されました。中にはまるまるとした新玉ねぎが入っていましたが、今年は3個だけ。昨年に比べると数が激減していました」
西村氏は、兵庫県明石市や淡路島などがある兵庫9区の選出。毎年のように、各議員事務所に「お中元」として地元のブランド玉ねぎを届けているのだ。
自民党の閣僚経験者の事務所にいた元秘書は、お中元やお歳暮を贈り合う永田町の文化についてこう話す。
「昔は、議員から『配ってこい』と言われると、私たち秘書がお中元を台車に乗せて、議員会館の事務所をひとつずつ回っていました。事務所の数が多いから3日間くらいかけて配ったものです。同じようなことは他の事務所もやっていて、たとえば、千葉県出身の先生のところからはラッカセイ、岡山県出身の先生のところからは“ままかりの酢漬け”などが届いていました。ただ、最近はそんなに派手にやらなくなってきたようですね」
前述のように、西村氏は昨年、政治資金でたまねぎを大量購入していたなどの疑惑を報じられ、派手なお中元の配り方を問題視された。それにもかかわらず、数量が減ったとはいえ、今年もたまねぎを配ったのはなぜか。