学校や仕事、生活での悩みや疑問。廣津留さんならどう考える?(撮影/吉松伸太郎)
学校や仕事、生活での悩みや疑問。廣津留さんならどう考える?(撮影/吉松伸太郎)

小中高と大分の公立校で学び、米・ハーバード大学、ジュリアード音楽院を卒業・修了したバイオリニストの廣津留すみれさん(29)。その活動は音楽だけにとどまらず、大学の教壇に立ったり、情報番組のコメンテーターを務めたりと、幅広い。「才女」のひと言では片付けられない廣津留さんに、人間関係から教育やキャリアのことまで、さまざまな悩みや疑問を投げかけていくAERA dot.連載。今回は、30代女性からの出産後の働き方に関するお悩みに答えてもらった。

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Q. 今年でフリーランス5年目です。結婚して3年が経ち、出産や子育てのことを考えるようになりました。でも、産後もいまと同じように働けるのか、仕事は途切れないのかといった不安があり、就職をするか、法人化するかなどいろいろと悩んでしまいます。また、経済的な不安もありますが、いま楽しんで仕事をしている分、出産・子育て期間中に自分のアイデンティティーが失われてしまうのではないかとも考えてしまいます。廣津留さんのご意見をお伺いしたいです。

A. 確かに、不安になる気持ちはわかります。どんな選択がベストなのかは人によってケースバイケースだと思うので、「私なら」ということでお答えしますね。

 私自身はまだ未経験なのであくまで想像ですが、私は出産や子育ては環境がガラリと変わる、いい切り替えのタイミングなんじゃないかなと思っています。人ってやっぱり安定したいと思うから、余程のことがないと自分の生活を変えるのは難しいですよね。でも、いまの状態をキープすることが必ずしもベストとは言い切れないんじゃないかなって思うんです。これまでの人生においてはいまがベストだとしても、もしかしたら出産や子育てを経ることで、よりよい生活や働き方に出合えるかもしれない。まだ経験していない私が言えることではないかもしれませんが、その可能性は忘れちゃいけないと思うんですよね。

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廣津留すみれ

廣津留すみれ

ひろつる・すみれ/バイオリニスト、成蹊大学客員講師・国際教養大学特任准教授。1993年、大分市生まれ。2016年にハーバード大学(学士課程)、2018年にジュリアード音楽院(修士課程)を卒業。世界的チェリスト、ヨーヨー・マとの共演のほか、ゲーム「ファイナルファンタジー」シリーズの演奏・録音などを担当。情報番組にコメンテーターとして出演も。著書に『ハーバード・ジュリアードを首席卒業した私の「超・独学術」』(KADOKAWA)など。2022年にファーストCD「メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲+シャコンヌ」をリリース。ジュリアード音楽院の教授ジョセフ・リン氏の代演を務めたコンサートのライブ音源を収録している。

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