巨人・松井颯(写真提供・読売ジャイアンツ)
巨人・松井颯(写真提供・読売ジャイアンツ)

 開幕から間もなく1カ月が経過するプロ野球。残り試合数はまだ100試合以上残されているが、セ・リーグでは巨人中日、パ・リーグでは楽天日本ハムがスタートダッシュに失敗し、苦しい戦いが続いている。この4球団が浮上するための起爆剤となり得る選手としてはどんな名前が挙がるのか。二軍でのプレーぶりなどから探ってみたいと思う。(文中の成績はすべて4月27日終了時点)

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 苦しんでいるベテランが多く、投手、野手ともに若手の台頭が待たれる巨人。野手では高校卒3年目の中山礼都、秋広優人、ルーキーの門脇誠などが一軍の戦力となりつつあるだけに、投手でもチームの次代を担う選手が出てきて欲しいところである。先発候補として名前を挙げたいのが育成ドラフト1位ルーキーの松井颯だ。首都大学リーグの二部所属だったこともあって低い順位での指名となったが、実力的には支配下指名でなかったのが不思議なほどの投手であり、キャンプ中にも一軍に抜擢されている。

 オープン戦では結果を残せず開幕前の支配下登録は見送られたものの、二軍ではここまで4試合に登板して2勝0敗、防御率1.26と抜群の成績を残している。赤星優志、山崎伊織という若手の先発が打ち込まれているだけに、彼らに刺激を与える意味でも早期の支配下登録、そして一軍抜擢に期待したいところだ。松井以外の投手では同じ育成ドラフト出身の菊地大稀、堀岡隼人なども二軍で結果を残しているだけに一軍で試してもらいたい投手である。

 ここ数年、長打力不足に苦しんでいる中日。今年は現役ドラフトで獲得した細川成也、ルーキーの福永裕基、怪我から復帰した石川昂弥などが積極的に起用されるなど明るい材料もあるものの、大砲候補が必要な状況は続いている。抜擢したい候補の筆頭としては2年目の鵜飼航丞の名前が挙がる。昨年は一軍で4本塁打を放ちながらも打率.206、195打席で64三振を喫するなど確実性が大きな課題となっているが、今年は二軍でもここまで3割を超える打率をマークするなど成長を見せている。またホームラン(5)、打点(21)は二軍でチームでトップの数字を記録しているように、持ち味の長打力もしっかり発揮している。レフトはアキーノ、アルモンテの新外国人(アルモンテは復帰)が起用されることが多いが、彼らの調子がなかなか上がらないようであれば鵜飼をぜひ抜擢してもらいたいところだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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中日の投手で期待したいのは?