4人目は若手。J1でのブレイクが期待されながら、思うような序盤戦を過ごせていないのが、横山歩夢(鳥栖)だ。高卒2年目の昨季、J3・松本山雅のエースに成長。前田大然を彷彿とさせる圧巻のスピードに、細かいタッチのドリブル突破と高いシュート精度で11得点を挙げた逸材アタッカー。若手育成に定評のある鳥栖に移籍したことで、飛躍が大いに期待されていた。だが、開幕戦の後半16分からJ1デビューを果たすもインパクトを残せず。次の出番となった第6節のFC東京戦では、後半13分からピッチに立って切れ味鋭いプレーを見せていたが、終了間際に左足を痛めて負傷(全治12週間)。今季の「J1で得点量産→日本代表デビュー」の青写真は、描き直さなくてはならなくなった。

 5人目、故障に泣いている新戦力が、DFジエゴ(柏)だ。2017年に来日し、松本山雅、水戸、徳島を経て、昨季は鳥栖の主力として活躍。空中戦に抜群の強さを見せて最終ラインでの制空権を握るとともに、豊かなスピードを武器に大胆な攻め上がりで得点チャンスにも絡んだ。新天地の柏では3バックの左CBのレギュラーポジションを用意されていたが、開幕メンバーから外れた後、3月9日にクラブが「左大腿直筋肉離れの治療のため手術を行った」と発表。全治や復帰時期は明らかにされていないが、肉離れの手術は重症を意味し、長期離脱は確実。チームも8試合で勝点6(1勝3分4敗)の17位。怪我は仕方ない面があるが、現時点ではチームへの貢献度ゼロ。主力としての期待が高いだけに責任はある。

 ここに紹介した新天地で「躍動する5人」、「苦戦する5人」だけでなく、すべての選手に共通するのは、まだシーズンは残り4分の3以上が残っているということ。チームの成績次第で個人の評価も変わり、負傷離脱者も復帰後に巻き返すチャンスは残っている。真価が問われるのは、まだまだこれからだ。(文・三和直樹)