その一方で苦戦中の「新戦力」もいる。1人目は、昌子源(鹿島)だ。2018年のロシアW杯でのベスト16入りに貢献した元日本代表センターバック。フランスリーグ、G大阪でのプレーを経て5年ぶりに古巣に復帰した今季、求められた役割は「守備の要」&「不動のチームリーダー」である。だが、年明けの1月、始動3日目に右膝内側側副靭帯損傷で全治6週間。第4節の福岡戦で“再デビュー”を果たして無失点(△0対0)で試合を終えたが、個人的な出来は今ひとつ。そして第5節からチームは4連敗を喫し、第8節の神戸戦ではスタメン落ち。もちろん勝てない原因を選手一人に押し付けるのはナンセンスだが、自身が戦列復帰して以降チームが勝てていないという事実が、メンタル的にも昌子を苦しめている。

 2人目は、同じく下位に低迷するチームの中で苦しい日々を過ごしているGK谷晃生(G大阪)だ。レンタル先の湘南で実績を積み、東京五輪では正GKとして活躍した将来期待の秀英GK。4年ぶりに古巣復帰を果たした今季、東口順昭との定位置争いを制してスタメンの座を勝ち取ったが、開幕3試合で7失点を喫し、その後の2試合はベンチに。第6節の湘南戦でスタメン復帰も、自らのミスから先制点を奪われた末に今季2度目の4失点大敗の屈辱を味わった。第7節の川崎戦で待望のリーグ戦初勝利を挙げた後に涙を流した姿には多くのサポーターが心を揺さぶられたが、続く第8節の京都戦では1対2で敗れて波に乗れず。ポヤトス戦術に必要なGKからのビルドアップ面だけでなく、セービングも安定はしている。だが、これまで東口が何度も披露してきた「チームを救うビッグセーブ」がないのも確か。谷が今季のリーグ戦出場6試合で喫した13失点中、「東口ならば……」と思わせた失点が、少なくとも3点はあった。

 3人目もGK、京都から移籍した上福元直人(川崎)だ。複数クラブを渡り歩いてきた中、昨季は神がかり的なセービングを連発してサポーターから「神福元」と絶賛された男だが、「ここでタイトルを取り、日本一になります」と加わった川崎では、正守護神を7年間務めてきたチョン・ソンリョンの牙城を崩せず。今季ここまでルヴァン杯3試合には出場するも、リーグ戦は未出場が続いている。それでもチームの重要な戦力であり、一員であることに変わりはないが、そのチームがリーグ戦8試合を終えて勝点8(2勝2分4敗)の13位と低迷。自身が出場したルヴァン杯でも3試合で勝点2(2分1敗)のグループ最下位となっている。「タイトルへの想い」が移籍の大きな理由だったが、現時点で古巣の京都がリーグ戦で勝点12(4勝4敗)の7位と上位にいるという皮肉な結果になっている。

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ブレイクが期待されながらも苦しんでいるのは…