※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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年とともに肌が老化していくのは仕方がないこと。弾力がなくなり、シワやたるみに悩む人も多いでしょう。それを少しでも遅らせるにはどうしたらいいか。近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授の大塚篤司医師が肌のアンチエイジングについて解説します。

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 アンチエイジングの研究は日進月歩です。とくに肌の老化に関して、近年、様々なことがわかってきました。肌の老化の要因は主に3つあります。炎症、過酸化脂質、糖化です。これらは紫外線、ストレス、不健康な食事などで引き起こされることが多く、これらの要素を制御することが、肌のアンチエイジングに重要です。今回は肌のアンチエイジングについて紹介したいと思います。

●抗酸化物質を取る

 肌の老化の要因として、過酸化脂質があげられます。過酸化脂質は、脂質が酸化によって変性した化合物です。体内で起こる酸化ストレスや外部からの酸化剤の影響で、不飽和脂肪酸が過酸化反応を受け、過酸化脂質が生成されます。過酸化脂質は細胞膜の構造を損傷し、機能を低下させます。過酸化脂質は、紫外線、喫煙、ストレス、大気汚染などで増えることが知られています。

 過酸化脂質の生成を防ぐには、抗酸化物質が有効です。食事やサプリから抗酸化物質を取り、活性酸素によるダメージを抑えることで、肌のアンチエイジングにつながる可能性があります。抗酸化物質として、ビタミンC、ビタミンE、アスタキサンチンなどを含む食品を積極的に食べることが推奨されています。多くの研究が抗酸化物質が老化や炎症を抑制し、肌の健康を維持することを示しています。

 ただし、抗酸化物質の摂取にも注意が必要です。過剰な抗酸化物質摂取は、逆に酸化ストレスを引き起こすことがあります。また、ビタミンCやビタミンEなどの一部の抗酸化物質は、水溶性と脂溶性の両方が存在するため、適切な形態で摂取することが重要です。

●糖化を防ぐ

 糖化とは、糖分とたんぱく質が結合し、結果としてコラーゲンやエラスチンなどのたんぱく質が劣化する現象です。この過程は、肌の弾力やハリを低下させ、シワやたるみの原因となります。シナモンやターメリックなどの糖化抑制食品には、糖化反応を遅らせる効果があることが研究で示されています。

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大塚篤司

大塚篤司

大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部特定准教授を経て2021年より近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授。皮膚科専門医。アレルギー専門医。がん治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行っている。Twitterは@otsukaman

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食品の摂取方法や調理法にも注意