※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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病院に行き外来で主治医にいろいろ聞こうと思っていても、短い診療時間でうまく質問できなかったり、主治医の言葉がわからないまま終わってしまったりしたことはありませんか。短い診療時間だからこそ、患者にもコミュニケーション力が求められます。それが最終的に納得いく治療を受けることや、治療効果にも影響します。今回は、最近の健診結果で「尿酸値が高いので再検査を」となり、受診前にインターネットでいろいろと調べてクリニックに行った会社員の会話の失敗例、成功例を挙げ、具体的にどこが悪く、どこが良いのかを紹介します。

【イラスト図解】治療効果を上げるコミュニケーション力

 西南学院大学外国語学部の宮原哲教授と京都大学大学院健康情報学分野の中山健夫教授(医師)の共著『治療効果アップにつながる患者のコミュニケーション力』(朝日新聞出版)から、抜粋してお届けします。

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「失敗例:エピソード1」と、「成功例:エピソード2」を順番に紹介します。

『治療効果アップにつながる患者のコミュニケーション力』(朝日新聞出版)
『治療効果アップにつながる患者のコミュニケーション力』(朝日新聞出版)

【患者の背景と現状】

 Bさんは48歳の男性会社員です。メーカーの営業職で、会社では遠くはない将来、管理職、そして末は執行役員とさえ言われるほど実績を上げています。

 仕事柄、顧客と飲食をともにしたり、部下思いでもあったりするBさんですから、後輩と仕事帰りにお酒を飲んだりする機会も多いほうです。50歳が近づき、そろそろ真剣に健康管理を、とは思うものの、忙しさのため、運動をしたり、会社の保健師と面談をして食生活の指導をしてもらったりなど、積極的な健康管理に向けた対策は今のところとっていません。

 会社の定期健診は毎年受けてきましたが、これまで異常を指摘されたり、再検査の指示を受けたりしたことはありませんでした。ところが、最近の健診結果で、「尿酸値が高いので再検査を」という、思いがけない文字がBさんの目に飛び込んできました。

 いつか健康相談を、と考えていたので、これを良い機会ととらえ、Bさんは自宅近くの、これまで風邪の治療やインフルエンザの予防接種などで何度も行ったことのある内科に行ってみることにしました。高い尿酸値を放置し、痛風の発作でも起こると仕事に影響します。食生活や飲酒、その他控えるべきこと、運動などについて指摘されるかもしれないので、Bさんは受診前にできるだけ知識を得ようと、インターネットでいろいろと調べてクリニックに行きます。

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