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3月10日に経営破綻(はたん)した米銀行、シリコンバレーバンク(SVB)はカリフォルニア州に拠点を置く「地方銀行(地銀)」だった。集めた預金で債券を購入し、利益を上げてきたものの、この1年ほどは含み損を抱え、苦しんでいた。一方、「SVBのビジネスモデルは日本の地銀と似ている」と、危機感をあおる報道も見受けられる。それは本当なのか、日本総合研究所調査部金融リサーチセンターの野村拓也主任研究員に聞いた。すると、意外な答えが返ってきた。
※この記事は<<たった1日で「シリコンバレーバンク」を破綻させたSNSの破壊力 “預金全額保護”も不安が消えない理由>>から続く
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日本の地銀は、同じ地銀といっても、SVBとは経営形態がまったく異なるという。
「日本の地銀の顧客がスタートアップ企業に集中しているかというと、まったくそんなことはありません。バラエティーに富んだ地場の法人のお金を預かっています。さらに個人預金も多い。個人預金が多いということは、預金保険制度でカバーされる部分が多いので、何かあったときでも急いで引き出されることはない。預金を貸金にまわす預貸率が大手行よりも低いとはいえ、とてもSVBとビジネスモデルが似通っているとは思えません」
さらに野村主任研究員は、地銀が保有する日銀当座預金の大きさを挙げる。
「地銀全体の資産状況を見ると、200兆円くらいあります。そのうち、約110兆円は日銀当座預金です。資産の多くが債券ではありませんし、これだけの量の日銀当座預金が積み上がっているわけですから、流動性(取引のしやすさ)がひっ迫するようなこともない。つまり、アメリカの地銀であるSVBの問題が日本の地銀の経営問題に直結するようなことは考えにくい。そのような結論になります」
■影響を受けるのは大手行?
ちなみに、大手行は「厳格な規制が入っていますし、十分な健全性を有しています」と、野村主任研究員は言う。
ただ、今回のSVBの経営破綻を受けて、米国の銀行規制が強化されることが考えられる。
「それが日本の大手行に何らかの影響を与える可能性はゼロではないと思います。というのも、これらの銀行はアメリカにも進出していますから。2008年のリーマン・ショック後の銀行規制では日本のメガバンクが結構影響を受けました」
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