※写真はイメージです(写真/Getty Images)
※写真はイメージです(写真/Getty Images)

近年、男性の美意識向上やジェンダーレスコスメの需要が高まりつつあることを背景に、パートナーや家族間で使える「シェアドコスメ」が流行している。だが、男女の肌質には違いがあり、使用方法や商品選びについて戸惑うことも少なくない。安心してシェアドコスメを使うための注意点を美容皮膚科医に聞いた。

【教えてくれた自由が丘クリニックの美容皮膚科医、松浦佳奈医師はこちら】

*  *  *

 パートナーと共有できる化粧品「シェアドコスメ」を使用する前に、基本的な知識として男女の肌質の違いを知っておこう。男性の肌は皮脂の分泌が多い一方で水分量が少ないために乾燥しやすく、女性の肌は皮膚が薄くてデリケートというのが定説だ。

 自由が丘クリニックの美容皮膚科医、松浦佳奈医師は、「皮膚は表皮と真皮の2層で形成されています。男性は表皮が厚く、さらに男性ホルモンの影響で皮脂が多いのが特徴。女性よりも肌が丈夫なイメージがあると思いますが、実際には皮脂が多いためにニキビができやすく、毛穴が目立つといった悩みも起こりやすいのです」と話す。

自由が丘クリニックの美容皮膚科医、松浦佳奈医師
自由が丘クリニックの美容皮膚科医、松浦佳奈医師

 さらに、欧米人と日本人の肌を比べた場合、欧米人のほうが表皮、特に表皮の表面にあたる角層が厚く、真皮が薄いためにシワができやすいのが特徴だという。

「反対に、日本人は角層が薄くて真皮が厚いため、シワができにくくハリがあります。しかし、角層が薄いと水分をためこむ力が弱いので乾燥しやすいんです」(松浦医師)

 性別や国籍にかかわらず、ハリと潤いを兼ね備えることは難しい。男女問わず、日頃のケアで水分と油分のバランスを整えて、肌を健康に保つ必要があるのだ。

■シェアすることで肌トラブルは起こる?

 スキンケアアイテムやコスメをシェアする際に心配なのが、肌トラブルや衛生面だ。直接肌に触れるものを使いまわすことになるため、取り扱い方にも疑問が生じる。

「そもそも化粧品類には防腐剤などが使用されていて、誰もが衛生的に使える仕様になっています。使用方法を守っていれば、シェアすることで雑菌が混入して肌トラブルが起こってしまうなどの心配はほぼないでしょう。それよりも注意したいのは、お互いの肌質に合ったアイテムを選ぶことです。例えば、乾燥肌の女性が使っている油性成分をベースにしたアイテムを脂性肌の男性が使った場合、ニキビの原因になることが考えられます」

次のページ
肌質が違うと、シェア自体がしにくい可能性も