山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師
山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師
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 日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「脱マスク生活」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。

【グラフ】米国での新型コロナウイルスの新規感謝数の推移

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 昨年末に報じられた新型コロナウイルス感染症の「5類」引き下げの検討が、ようやく動き出しそうです。今年の1月18日、岸田首相は加藤厚生労働大臣らと新型コロナウイルスにおける感染症法上の分類見直しについて協議し、今年の春を視野に現在の「2類相当」から「5類」へ引き下げる方針を固めたことが報じられました。マスク着用の目安についても緩和の検討を指示する方針であるほか、5類引き下げの際は法律上の根拠がなくなってしまう公費負担については特例的に継続し、段階的に廃止する方針だといいます。

 日本のニュースを見ていると必ずと言っていいほど見かけるマスク姿ですが、私は「脱マスク」をしてからもうすぐ2カ月が経とうとしています。理由は単純です。日本を離れているからです。

 コロナパンデミック後の渡米は、昨年の春と夏に続き今回が3回目です。昨年の夏の時と比較して、ロサンゼルス国際空港での入国審査を待つ人の数は明らかに増えているような印象を受けました。実際に、入国審査を終える時間も前回の30分であったのに、今回は1時間半もかかってしまいました。審査を待つ人はノーマスクの人も多く、空港で働く人もノーマスク姿が増えていたように感じました。

「もうアメリカは元に戻っているよ。コロナなんかもう気にしていないんじゃないかな……」米国在住の友人からはそう聞いていましたが、今回の長期滞在ではそう肌で感じることが多いです。

 例えば、昨年の渡米の際は空港の到着ロビーに設置されていたコロナ検査を促すテントを、今回は見つけることができませんでした。前回はハイウェイ沿いで見かけたコロナワクチン接種を勧める広告や街中に設置されたコロナ検査を行う仮設テントも、現時点で一つもみかけていません。

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