■広島:D

【主な新戦力】
戸根千明(現役ドラフト・投手)
益田武尚(ドラフト3位・投手)
河野佳(ドラフト5位・投手)
長谷部銀次(ドラフト6位・投手)
デビッドソン(新外国人・内野手)

 12球団で唯一FAでの選手獲得がなく、伝統的に自前で選手を育てる方針が強いこともあってこのオフも必要最低限の補強に終わったという印象だ。現役ドラフトで獲得した戸根も森浦大輔、塹江敦哉、ターリーなどとの競争であり、一軍の座は安泰とは言えない。ドラフトでも3人の社会人投手を指名しているが、河野と長谷部は2年目からの戦力と考えておくのが妥当だろう。投手で最も即戦力として期待がかかるのが益田で、好調時のボールはプロの一軍レベルにある。課題のコンディションをしっかり整えて、調子の波を抑えることができれば1年目から一軍の投手陣に入る可能性もありそうだ。

 野手で期待されるのが新外国人のデビッドソンだ。メジャーで2年連続20本以上のホームランを放った実績があり、パワーは申し分ない。ただ、三振の多い“扇風機”タイプだけに、日本の投手の変化球攻めに対応できるかが活躍へのカギとなるだろう。

■中日:C

【主な新戦力】
涌井秀章(トレード・投手)
砂田毅樹(トレード・投手)
加藤匠馬(無償トレード・捕手)
カリステ(新外国人・内野手)
アキーノ(新外国人・外野手)
村松開人(ドラフト2位・内野手)
田中幹也(ドラフト6位・内野手)
福永裕基(ドラフト7位・内野手)
アルモンテ(新外国人・外野手)※復帰
細川成也(現役ドラフト・外野手)

 積極的なトレードでチームを作り変えようという意欲は感じられたが、実績のある投手を獲得できた一方で阿部寿樹、京田陽太と二遊間のレギュラーが退団した穴は大きいと判断してCと評価した。懸案のセカンドはルーキーの3人が候補となるが、1人に任せるのは現実的ではなく、併用しながら可能性を探ることになる。ショートの土田龍空も今年で21歳という若さを考えると、不安な印象は否めない。桂衣央利を自由契約にし、捕手が足りないということで加藤を獲得するなど編成面でのちぐはぐさも気になるところだ。そんな中で期待したいのはアキーノと細川の2人だ。ともに確実性は課題だがパワーと強肩は魅力なだけに、長打力不足のチームを考えても貴重な存在となりそうだ。

(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文 1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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