ソフトバンク時代の大竹耕太郎と楽天時代の涌井秀章(写真提供・福岡ソフトバンクホークス/東北楽天ゴールデンイーグルス)
ソフトバンク時代の大竹耕太郎と楽天時代の涌井秀章(写真提供・福岡ソフトバンクホークス/東北楽天ゴールデンイーグルス)

 いよいよキャンプインまで10日を切った今年のプロ野球。新外国人選手やトレードなどまだここから動く球団が出てくる可能性もあるが、シーズン前の補強はひと段落した印象を受ける。

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 そこで今シーズンに向けての各球団の現時点での補強について診断してみたいと思う。なお、ルーキーに関しては今年一軍の戦力になる可能性が高い選手のみをピックアップした。また診断はA、B、C、Dの四段階評価で、あくまでもこのオフに加入した選手が今年一軍戦力になるかという点を評価基準とし、退団した選手の影響も加味して評価した。今回はセ・リーグ編だ。

*  *  *

■ヤクルト:C

【主な新戦力】
ピーターズ(新外国人・投手)
ケラ(新外国人・投手)
エスピナル(新外国人・投手)
成田翔(現役ドラフト・投手)
尾仲祐哉(阪神を自由契約・投手)
沼田翔平(巨人を自由契約・投手・育成)
吉村貢司郎(ドラフト1位・投手)
三ツ俣大樹(中日を自由契約・内野手)

 リーグ連覇は達成したものの、2年続けて二桁勝利をマークした投手は不在と投手陣が課題となっているヤクルト。その弱点を補強すべく外国人、現役ドラフト、ドラフト、他球団を自由契約になった選手と、とにかく投手の補強に動いた。それでもそこまで高い評価にならかったのはやはり抑えのマクガフが退団したマイナスが大きいと考えたからだ。

 メジャー通算28セーブ、59ホールドを誇るケラがその穴を埋める有力候補だが、右肘の手術もあって過去3年間は成績を残すことができていない。清水昇、木沢尚文などが抑えに回るようであれば中継ぎの補充も必要となるだけに、チームのお家芸と言える“再生工場”で成田、尾中、沼田などを引き上げることが重要になってくるだろう。野手もレギュラー陣は充実しているが、故障者が出た時のためにキブレハンを残しておいても良かったのではないだろうか。

■DeNA:B

【主な新戦力】
ウェンデルケン(新外国人・投手)
笠原祥太郎(現役ドラフト・投手)
吉野光樹(ドラフト2位・投手)
橋本達弥(ドラフト5位・投手)
京田陽太(トレード・内野手)
西巻賢二(ロッテを自由契約・内野手・育成)
アンバギー(新外国人・外野手)

 嶺井博希がFAソフトバンクに移籍したが、伊藤光、戸柱恭孝と実績のある捕手が2人いるだけに、それほど大きいマイナスのようには感じられない。また抑えで復活した山崎康晃も生涯ベイスターズを表明し、残留したことで大きな戦力ダウンを逃れることができた。そしてプラス面で大きいのはやはりトレードで獲得した京田だ。DeNAのショートは長年大きな課題となっていたが、年齢的にもまだ若く余力十分の京田が入ったことで一気にその穴が埋まる可能性も高い。特に守備面はリーグでも1、2を争う存在だけに、内野の大きな戦力となることは間違いないだろう。また力はありながらも故障が多いオースティンのバックアップとしてアンバギーを獲得したことも的確な補強という印象だ。

 一方の投手陣もドラフトでは吉野、橋本という社会人、大学生の実力者を2人獲得。さらに現役ドラフトでは笠原を獲得し、京田とのトレードで中日に移籍した砂田毅樹の穴を埋めようという意図も感じられる。大型補強というわけではないが、投手、野手ともにしっかりとした底上げはできたと言えるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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