スマホに依存してはいけないが、利用していなければ支障をきたすこともある。小学3年の娘にキッズ携帯を持たせているという川崎市在住の40代女性は、「理由はふたつあります。まず、GPSによる位置確認です。学校には持っていけないので、習い事や近くの公園に遊びに行くときに持たせています。まだ親の言うことを聞く段階で『携帯電話との付き合い方を覚えさせたほうがよいのでは』と考えたのが、もうひとつの理由です。携帯電話に関する悪いニュースを見るたびに夫と相談して、まずはキッズ携帯から始めることにしました。もちろんSNSやネットは使えません。ただ、使用するタイミングや時間などのルールを守ることや携帯電話を持つということ自体に、いまのうちから慣れてほしいと考えています。付き合い方に問題がないようだったら、数年後には一般向けのスマホにして、また新しいルールを設けようと思います」

 スマホの普及率の低年齢化は年々進んでいる。竹内准教授は、子どもとスマホの向き合い方についてこう私見を述べる。

「10年もすれば、小学3年ぐらいでみんながスマホを持つ時代になるでしょう。ただ悲観する必要はありません。自転車を乗る時に、三輪車、補助付きの自転車で訓練するように、私たちの社会は、スマホ享受の文化を作り上げていると思います。例えば、最初の1年間は親の前で1日30分しかスマホを使わないとか、その後も子どもの意見に耳を傾けてしっかりコミュニケーションをとって計画を作る。小学生の時に親子でルール作りをしておけば、中学、高校に進んでも子どもはスマホと適度な距離をとって、コントロールできるようになる。そうなるために社会全体で試行錯誤をしていると考えています。中学生の普及率が高まっている今が一番難しい時代かもしれません。思春期の繊細な時期なので、親の言うことになかなか耳を傾けない。三輪車、補助付きの自転車と訓練せずに、いきなり大型バイクを与えているような形なので、制御できずに夢中になって長時間使い続けてしまう。親御さんは大変だと思いますが、子どもに根気強く向き合ってほしい。使用時間をきっちり守ったら、『頑張ったね』とほめてあげてほしいです」

 スマホは便利なツールだが、依存すると大切なものを失ってしまう。子どもとスマホの利用について話し合う時間を持つことが、大事な一歩になる。(今川秀悟)