スマホ所持の低年齢化が進んでいる(写真はイメージです)
スマホ所持の低年齢化が進んでいる(写真はイメージです)

 静岡県牧之原市の住宅で40代の女性が刃物で刺された事件。殺害に関与した疑いがあるとして身柄を保護されたのは、死亡した女性の中学1年の娘(13)だった。一部の報道によると、スマートフォンの使い方をめぐる親子間のトラブルが惨事のきっかけだった可能性があるという。

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 同世代の子どもを持つ親は、このショッキングな事件を人ごとに思えないだろう。モバイル社会研究所(NTTドコモ)が2021年に実施した調査によると、子どものスマホ所有率は小学生低学年が15%、小学生高学年が33%、中学生が79%。スマホを持っていない中学生が珍しい時代になっている。

 公立中学校で20年間、生徒指導主事等を担当し、子どものネット依存やSNSをめぐるトラブルなどを研究する兵庫県立大学環境人間学部の竹内和雄准教授は、「今年の夏に大阪府内の公立中学を対象に調査したところ、9割の子どもたちがスマホを持っているという統計結果が出ました。公立の小学校でも過半数の子どもが持っていた。部活動の連絡、明日の持ち物がLINEで伝えられる時代です。小学生、中学生に『スマホを持たせるべきか』という問題ではない。スマホといかに賢くつきあうかが重要になってきました」と力説する。

 竹内准教授は母親が刺殺された今回の事件について、「まだ分からないことが多く、スマホを巡るトラブルが原因とは断定できない」と前置きした上で、こう語る。

「子どもたちにとってスマホは体の一部のようになっている。私たち大人が小さいときはスマホがなかったので、スマホありきの生活が浸透している子どもたちと、世代間のジェネレーションギャップが生じてしまっている」

 過去に起きたスマホを巡る親子トラブルから、なぜ子どもたちがスマホを手放せないのか、その理由の一端を知ることはできる。

「関わっているご家庭のことです。両親が息子に『スマホを使う時間は午後8時まで』と宣言していたが、ある日、午後8時15分までスマホのオンラインゲームをやっていた。ルール違反のためスマホを取り上げたところ、息子は金属バットで叩いて取り返した。息子がなぜこんな行動をしたのか。話を聞いてみると、ゲームで戦いが長引いてしまったようです。友達と5人1組のパーティーなので途中では抜け出せない。そこで親にスマホを取り上げられたので感情が爆発したようです」(※個人情報のため一部事実を変更しています)

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