子宮筋腫や子宮内膜症と比べると、やや認知度が低い「子宮腺筋症」。しかし発症頻度は筋腫、内膜症と大きく変わらない。最近は、子宮内膜症から発生するタイプがあることがわかり、早期診断の重要性が注目されている。
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子宮は、骨盤内にある袋状の器官で、子宮の壁は内側から子宮内膜、子宮筋層、漿膜という3層構造になっている。子宮腺筋症とは、子宮内膜組織が子宮筋層に入り込んで、増殖する病気だ。
一般的には30代後半から40代の出産経験のある女性に多いとされ、子宮筋腫などで子宮内の手術をした人や中絶を経験した人に多いという報告もある。従来は、子宮内膜の組織が何らかの原因で子宮筋層(筋肉)の中に入り込むことで起こると考えられてきたが、近年では、子宮内膜症の病変から子宮腺筋症が発生することもあるとわかってきた。子宮内膜症とは、本来は子宮の内側に存在する子宮内膜組織が、子宮以外の場所で発生する病気だ。ミズクリニックメイワン院長の小林浩医師はこう話す。
「従来の、子宮の内側から内膜組織が筋層に入り込むタイプ(I型)だけでなく、子宮内膜症の病変が子宮の外側から筋層に入って起こるタイプ(II型)もあることがわかっています。子宮内膜症は若い人にも多く、内膜症から発生したII型の腺筋症は20代の人にもみられます」
つまり、若い女性が子宮腺筋症と診断された場合、子宮内膜症を合併している可能性が高い。このように、子宮の良性疾患である子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋症は合併することも多いと小林医師は言う。
子宮腺筋症は、病気の認知度は低いが、女性の20~30%にみられるといわれており、子宮筋腫や子宮内膜症と発症頻度は大きく変わらないとされている。
■つらさが周囲に理解されにくい
10代、20代の若い女性は、月経に関わるつらい症状があってもすぐに受診しないケースが多い。市販の鎮痛剤で月経痛が改善しない、あるいは貧血が改善しないなどの理由で婦人科を受診し、子宮内膜症に子宮腺筋症を合併していることがわかることも多い。そう考えると、未受診で診断されていない腺筋症の患者も多くいると推測される。