日本ハム時代の古川侑利
日本ハム時代の古川侑利

 昨年12月に初めて行われた現役ドラフト。出場機会に恵まれない選手の救済措置を狙いとして実施されたが、当然ながらチームが変わってチャンスが増える選手ばかりではないことは確かだ。中でもより厳しい環境に移籍することになった選手と言えば、やはりオコエ瑠偉(楽天巨人)になるだろう。

【写真】現役ドラフト移籍組で「飛躍しそうな選手」がこちら

 2015年のドラフト1位でプロ入りし、将来の中軸候補として期待が高かったものの、度重なる故障もあって低迷。ここ数年は毎年のようにトレード説が出ていたが、とうとう現役ドラフトで移籍することになった。楽天の外野陣は左打者が多く、現役ドラフトでもオコエと同じ右打ちの外野手である正隋優弥を獲得していることを考えても、オコエを戦力としては考えていなかったことがよく分かるだろう。

 ちなみに今回移籍が決まった12人の中で、ドラフト1位入団の選手はオコエだけである。そんなオコエが移籍する巨人も昨年スタメン出場した右打ちの日本人外野手は石川慎吾(5試合)しかおらず、補強ポイントとしてはオコエがマッチしていたようにも見えるが、出場機会が増えるかと言えばそれほど話は簡単ではない。

 ドラフトでは浅野翔吾(高松商)、萩尾匡也(慶応大)という右打ちの外野手を2人獲得。ともに即戦力としては考えていないと思われるが、上位指名で入団しているだけに期待値は大きい。また、中田翔がファーストとして復活したことで、将来の中軸として期待されている秋広優人も外野で一軍定着を目指すと報じられている。

 外野のレギュラー争いは丸佳浩、ウォーカーが一歩リードしており、残るポジションは1つということを考えると、一軍定着はそう簡単ではないというのが現状だ。また新外国人として、メジャーでも実績のあるルイス・ブリンソンの獲得調査に動いているとの報道も出ており、開幕までにさらにライバルが増える可能性も高い。運動能力の高さには定評があるものの、オコエ本人が巨人への入団会見でコメントしているように、打撃面でしっかりアピールできなければ楽天時代と同様に二軍暮らしが続くことになりそうだ。

著者プロフィールを見る
西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

西尾典文の記事一覧はこちら
次のページ
投手で“厳しい環境”となりそうなのは?