静岡県裾野市の認可保育園「さくら保育園」で起こった保育士による園児への虐待。暴行の疑いで逮捕された女性保育士の3人は容疑をおおむね認めているという。保育士による虐待行為は表に出てないケースもあり、今回の事件は「氷山の一角」という声もある。わが子を預けている保育園は大丈夫だろうか? これから預ける場合はどうすればいいのか? 保育園の見極め方を専門家に聞いた。
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今回の事件で常習的に行われていたという虐待はどんなものだったのか。裾野市によると7日時点で確認された虐待行為は16個。
「棚に入った園児の足をつかんで引っ張り出し、足をつかみ宙づりにする」、「予め遅刻する旨連絡のあった園児に対し、腕を引っ張り『遅いんだよ』と怒鳴る」、「泣かない園児に対し、額をたたき無理やり泣かせようとする」、「園児に対し、カッターナイフをみせ脅す」、「給食を食べない園児の頭を突然後ろからたたく」、「感染症の症状のある園児のお尻を無理やり他の園児に触らせる」などだ。
さらに、これらの行為があったことについて、園長が全職員に対し、第三者に漏らさないよう誓約書を書かせ、市に通報しようとした保育士には土下座して通報しないよう求めていたこともわかり、市は園長を犯人隠避の疑いで刑事告発した。
こうした問題行為はほかの保育園でも起きている。富山市の認定こども園では、1歳の園児の両足を持ち、逆さづりにして体を引きずったり、2歳の園児が座っていた椅子を引き、尻もちをつかせたりしたなどとして、暴行の疑いで2人の保育士が書類送検されている。
いずれの問題でも「しつけのつもりだった」「暴行にあたる行為だとは思わなかった」といった趣旨の発言をしているようだ。
こうした実態について、「保育園を考える親の会」アドバイザーの普光院(ふこういん)亜紀さんは「しつけと虐待などの不適切保育の区別がつかない保育士や施設長(園長)は意外と多い」と指摘する。