■堂安律「俺のコース」

 1勝1敗で迎えたスペイン戦。決勝トーナメント進出のためには絶対に負けられない一戦で、日本代表の今大会1点目を決めた堂安律が再び躍動。0対1で折り返した後半開始からピッチに登場すると、後半3分に味方の連動したプレッシングから奪ったボールを拾うと、巧みなトラップから左足一閃。ゴール前の右45度から放たれたシュートは、GKウナイ・シモンの手を弾き飛ばしてゴールネットに突き刺さった。そして試合後のインタビュー、自らの得点シーンを振り返り、「あそこは俺のコースなんで」と舌舐めずり。「あそこでボールを持てば絶対に打ってやると決めていたので、思い切って打ちました」と満足気な表情を見せた。何度もVTRで流された堂安の強烈な一撃。それを見たサッカー少年たちが、あちこちのグラウンドで「俺のコース」からのシュート練習に励んだことは言うまでもない。

■長友佑都「ブラボー!(小さい声で言うんでver.)」

 ドイツ戦の勝利後に「ブラボー!」を連呼して大きな話題を生んだ長友佑都。スペイン戦で再び逆転勝利を収めると、試合後のインタビューで自ら「あれ、言っていいですか?」と尋ねて了解を得ると、「小さい声で言うんで、小さい声で……」と前フリした上で、「ブラボー!!」と大絶叫。「マジみんなブラボー!ありがとう、本当ありがとう!マジでブラボー!すごい!」とチームメイトたちを全力で称えた。2016年の「アモーレ」で流行語大賞トップ10入りを果たした長友が、露骨に“狙いに行った感”もあったが、長友の憎めないキャラクターがすべてをカバー。今年の流行語年間大賞は12月1日に発表されたばかりだったが、SNSを中心に「ブラボーの方がいい」、「絶対にブラボーでしょ」との声が続出。翌日以降、ゴールを決めたサッカー少年たちはもちろん、学校や職場などでも少し良いことをしただけで「ブラボー!」と褒められた人も多いだろう。

■吉田麻也「これだから代表やめられない」

 コスタリカ戦で自らの中途半端なクリアから失点を喫して批判を浴びた主将・吉田麻也だったが、崖っぷちのスペイン戦では汚名返上の好パフォーマンス。相手にボール支配率80%を許した中で最後まで集中力を切らさず、後半44分にはゴール前で間一髪のクリアも見せて2対1の逆転勝利に貢献。試合終了のホイッスルとともに力強いガッツポーズを見せた。そして直後のインタビューで「言葉になりません」と勝利の味を噛み締めると、「いやぁ、やっぱこれだから代表やめられないっすね。最高でした」と頷いた。数々の修羅場をくぐり抜けた34歳のベテランだからこその“心の声”であり、チーム一丸となって戦う喜び、勝利の味を多く知る男が発する言葉には、常に揺るぎない信念と優しくも力強い説得力があった。クロアチア戦後、自らの今後について「僕はもうそこには……」、「ゆっくり考えます」と代表引退を示唆する発言もあったが、たとえ「まだ代表やめられない」という結論に達しても尊重されるべきだ。

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森保監督の“記憶に残る言葉”は?