岸田内閣の支持率低下が止まらない。旧統一教会問題、五輪汚職など政権へのマイナス要因が多いなか、国民の反発を招いている「国葬」の強行が、内閣に決定的な打撃を与えかねない。
***
「まさに急降下。旧統一教会で落ち、国葬でさらに落ちる見込みで、岸田政権も存亡の危機だ」
自民党の閣僚経験者が、深刻そうに話す。
旧統一教会(現世界平和統一家庭連合)と自民党の国会議員のかかわりが明らかになって、一気に支持率を落とした岸田政権。
東京地検特捜部が捜査を進めている東京オリンピック・パラリンピックの汚職事件でも、組織委員会の会長だった森喜朗元首相が事情聴取されるなど、政界に飛び火する可能性が取りざたされ、政権にマイナス材料となっている。
毎日新聞と社会調査研究センターが9月17、18日に実施した世論調査では、内閣支持率が29%と、前回比でマイナス7ポイントとなり、逆に不支持率は64%と10ポイントもアップした。内閣支持率の危険水域とされる30%を割る急激な下落に衝撃が走った。
そして、今後さらに支持率低下を招きそうなのが、9月27日に開催される、安倍晋三元首相の国葬。
同じ毎日新聞などの調査では、国葬への賛成は27%、反対は62%。朝日新聞の9月10、11日の世論調査でも、国葬への賛成が38%に対して、反対が56%と、国葬開催には批判的な声が多い。
そもそも、岸田首相が安倍元首相の国葬に踏み切った理由が「政局」にある。
「安倍元首相の国葬は、最大派閥の安倍派に配慮したもの。内閣改造を1カ月前倒しにして、閣僚や自民党の役員人事でも安倍派の有力者を処遇した。岸田首相としては、安倍派に恩を売って政権基盤を安定させようという思惑だった。しかし、国民の声を背景にした国葬ではなく、岸田首相の政治的な意向が透けて見えてしまっていることもあって、国葬反対が急増していると思われる」(前出・自民党の閣僚経験者)