安藤 どういう用具ですか?

高山 センサーをへその下あたりに装着すると、膀胱内の尿のたまり具合をモニタリングできるんです。

安藤 えっ、すごい!

高山 例えば老人ホームでは食後にトイレに誘導しますけれど、拒否される方がいますよね。

安藤 あっ、この機器で膀胱内の尿の量がわかるから「いや、たまってるじゃん」って言えるんですね。

高山 そうです。スムーズにトイレに誘導できますし、ある程度記録がとれると排せつパターンがわかるので、夜間のおむつ交換が減るんです。

メイプル超合金・安藤なつとティー・オー・エス株式会社代表取締役の高山善文(週刊朝日ムック『高齢者ホーム2023』、写真/加藤夏子)
メイプル超合金・安藤なつとティー・オー・エス株式会社代表取締役の高山善文(週刊朝日ムック『高齢者ホーム2023』、写真/加藤夏子)

安藤 すごいですね。現場で働いていたときもおむつのむれや不快感を防ぐためにいろいろ工夫していましたけれど、これがあればトイレの失敗が減って、おむつかぶれも防げますよね。私も自分で試してみたいです。

高山 実際に自分で試さないとわからないですよね。

安藤 おむつは試しました。おむつに排せつするのって難しいんですよ。

■介護職も一部の医療的ケアが可能に

高山 介護の未来については、認知症ケアも重要だと思っているんです。認知症は今のところ薬では治せないとされていますが、生活の中で進行を緩やかにすることはできます。その力が介護にはあると思うんです。

安藤 認知症の人がみている世界を受け入れ、寄り添うには技術が必要だと思うんです。そこを勉強したいという人が増えるといいですよね。

高山 国も認知症サポーター(※1)の養成を推進するなどして、少しずつ増えてはいます。

安藤 私は20年くらい介護の現場に携わったので、技術は身についたと思いますが、知識は勉強しないと身につかないじゃないですか。知識を増やしたいなと思って、最近「実務者研修」(※2)の資格をとったんです。特に喀痰(かくたん)吸引や経鼻経管栄養など医療的ケアの手技がめちゃくちゃ大変でした。

高山 以前は介護職には医療的ケアは認められていなかったんですが、今は一部できるようになったんです。

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施設のスタッフが間に入ると、家族はすごく救われる