音楽誌のライターは語る。

「話題となった『中森明菜 スペシャル・ライブ1989 リマスター版』は、明菜さんにとってもシングル曲だけを歌った珍しいコンサート。その模様を高画質の映像にリマスターしたものを4月にBSプレミアム・BS4Kで放送したところ大きな反響を呼び、わずか3カ月後の7月にNHK総合で再放送されました。NHKとしては改めて明菜人気のすごさを見せつけられた格好で、昨年に歴代最低視聴率という不名誉な記録を更新してしまった『紅白』の目玉として狙っているわけです」

 そもそも、NHKサイドには過去の「紅白」で明菜とのコラボによる成功体験がある。

 ストレスによる免疫力低下で2010年10月から活動休止していた明菜は、14年の「紅白」に米ニューヨークのスタジオからの生中継という形でサプライズ出演。約4年5カ月ぶりの復活を果たし、世間に大きな衝撃を与えるとともに同番組の視聴率にも大きく貢献した。

「40周年のアニバーサリーに明菜さんが再び『紅白』で復活ののろしを上げるとなれば話題性は抜群です。NHKにとっては願ってもない状況ですし、明菜さんにとっても『紅白』のステージはアピールの場としては申し分ないでしょう」(同)

 実際、伝説のコンサートの放送が大成功し「紅白」での明菜待望論が噴出しているこのタイミングで、本人が“再始動宣言”したのだから、年末に向けての期待が高まる。

 その一方で、明菜本人も「まだ万全な体調とは言えません」とつづっているように、越えなければならないハードルもある。前出のレコード会社スタッフはこう明かす。

「一番のネックは体調でしょう。14年の『紅白』での復帰後には新曲のリリースやディナーショーなどの活動を行いましたが、17年末のディナーショー以来、再び表舞台から姿を消したままですから。ただ収入面の心配ないようで、歌唱印税やファンクラブの収益などに加えて、大きいのはパチンコ台関連。06年の“初代”の登場以来、昨年も新機種が発表されるなど業界屈指の人気ロングシリーズとなっているパチンコ台関連の収入は盤石です。持病の帯状疱疹が完治していないといった話もありますし、何が何でも復帰しなくていけない状況でもありません」

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「環境が整わないとゴーサインは出さない」