P&G、日本マクドナルド、ナイアンティックなどを経て、2020年10月からファミリーマートのCMOに就任し、数々の話題となる商品・キャンペーンを仕掛けている足立光氏。足立氏が著した『世界的優良企業の実例に学ぶ「あなたの知らない」マーケティング大原則』は、困った時・迷った時にすぐ使える戦略指南書。マーケティング実務者のバイブルとして定着している。(撮影/写真部・戸嶋日菜乃)
P&G、日本マクドナルド、ナイアンティックなどを経て、2020年10月からファミリーマートのCMOに就任し、数々の話題となる商品・キャンペーンを仕掛けている足立光氏。足立氏が著した『世界的優良企業の実例に学ぶ「あなたの知らない」マーケティング大原則』は、困った時・迷った時にすぐ使える戦略指南書。マーケティング実務者のバイブルとして定着している。(撮影/写真部・戸嶋日菜乃)

 P&G、日本マクドナルドなどを経て、現在ファミリーマートのエグゼクティブ・ディレクターとしてチーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)を務める足立光さんが太鼓判を押すマーケティング本がある。

「過去、数多くのブランディング関連の本を読みましたが、自分がこれまでやってきたこと、今やっていることが間違いではないと、これほどファクトベースで確認できる本はなかった。そういう意味でも実務家にとって非常に役立つ1冊」

 そう紹介してくれたのが、7月に発売されたばかりの、大好評マーケティング本のシリーズ第3弾『ブランディングの科学 独自のブランド資産構築篇』(ジェニー・ロマニワク著)だ。

 伝説のマーケターがおすすめする同書のポイント、そしてブランディングの「大原則」を解説する。

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■ブランディングに少しでもかかわる人は必読!

『ブランディングの科学 独自のブランド資産構築篇』の大きな特徴は、ブランド資産の構成要素を非常に細かく広く取り上げている点です。

 たとえば、第12章にある「ブランド資産の構成図」という図表を見ると一目瞭然。カラーやサウンドなど、過去のブランディング本でブランド資産の一部とは挙げられていなかった、しかし実際にはコミュニケーションをつくっていくうえでとても大事な要素を、ブランド資産であると明確に定義しています。他にもセレブリティとスポークスパーソンを分けて細かく論じていたりもします。

 また、シリーズ第1弾『ブランディングの科学 誰も知らないマーケテイングの法則11』、第2弾『ブランディングの科学 新市場開拓篇』では、「既存のマーケティングの常識は神話に過ぎない」とデータを示して真っ向からぶった切る印象が強かったのですが、第3弾ではその「強烈さ」はなくなっています。

 しかし、たとえばCMで、最初にブランド名を出したほうがいいのか、それとも最後のほうがいいのかとか、ブランドの訴求を強くすることと広告表現のクリエイティビリティは相反するのかとか、業界的によく揉める議題を、やはりデータを示して、明確に「ブランディングの効果とは、大きな関係はない」と断じています。

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ブランド資産は「独自性」と「一貫性」