P&G、日本マクドナルドなどを経て、現在ファミリーマートのエグゼクティブ・ディレクターとしてチーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)を務める足立光さんが太鼓判を押すマーケティング本がある。
「過去、数多くのブランディング関連の本を読みましたが、自分がこれまでやってきたこと、今やっていることが間違いではないと、これほどファクトベースで確認できる本はなかった。そういう意味でも実務家にとって非常に役立つ1冊」
そう紹介してくれたのが、7月に発売されたばかりの、大好評マーケティング本のシリーズ第3弾『ブランディングの科学 独自のブランド資産構築篇』(ジェニー・ロマニワク著)だ。
伝説のマーケターがおすすめする同書のポイント、そしてブランディングの「大原則」を解説する。
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■ブランディングに少しでもかかわる人は必読!
『ブランディングの科学 独自のブランド資産構築篇』の大きな特徴は、ブランド資産の構成要素を非常に細かく広く取り上げている点です。
たとえば、第12章にある「ブランド資産の構成図」という図表を見ると一目瞭然。カラーやサウンドなど、過去のブランディング本でブランド資産の一部とは挙げられていなかった、しかし実際にはコミュニケーションをつくっていくうえでとても大事な要素を、ブランド資産であると明確に定義しています。他にもセレブリティとスポークスパーソンを分けて細かく論じていたりもします。
また、シリーズ第1弾『ブランディングの科学 誰も知らないマーケテイングの法則11』、第2弾『ブランディングの科学 新市場開拓篇』では、「既存のマーケティングの常識は神話に過ぎない」とデータを示して真っ向からぶった切る印象が強かったのですが、第3弾ではその「強烈さ」はなくなっています。
しかし、たとえばCMで、最初にブランド名を出したほうがいいのか、それとも最後のほうがいいのかとか、ブランドの訴求を強くすることと広告表現のクリエイティビリティは相反するのかとか、業界的によく揉める議題を、やはりデータを示して、明確に「ブランディングの効果とは、大きな関係はない」と断じています。