(2)復活車両

近畿日本鉄道19200系あをによし
(2022年4月29日から営業運転開始)

1974年製の12200系新スナックカーが、装い新たに19200系あをによしとして再登場(著者撮影)
1974年製の12200系新スナックカーが、装い新たに19200系あをによしとして再登場(著者撮影)

 近鉄では、車内に軽食がとれるスナックコーナーがあったことから「新スナックカー」と呼ばれていた特急12200系が、2021年11月20日、52年の活躍にピリオドを打った。そこから5カ月後の2022年4月29日に復活したのが、19200系「あをによし」だ。大阪難波―近鉄奈良―京都間1往復、近鉄奈良―京都間2往復が設定され、“奈良アクセスの観光特急”という役割を担う。車形も7000をプラスした19200系となり、12200系の面影を残す。

“ゆとり”を強調した列車なので、客室は2人用のツインシート、3・4人用のサロンシートで構成され、夫婦や女性同士をターゲットにしているという。テーブルには瑠璃坏(るりのつき)を参考にした青いライトが設置され、“大人の列車”という雰囲気を醸し出す。車体側面の装飾、インテリアは奈良の正倉院をイメージし、奈良観光へのワクワク感を醸成している。

 オススメはツインシートの窓側に向けた席。斜めに配した座席は複数の側窓が大型スクリーンと化し、車窓を満喫できる。

東武博物館C11形123号機
(2022年7月から営業運転開始の予定)

1975年の廃車以来、47年ぶりに現役復帰したC11形123号機(著者撮影)
1975年の廃車以来、47年ぶりに現役復帰したC11形123号機(著者撮影)

 最後は東京都墨田区にある東武博物館について。同館は2018年に北海道江別市で静態保存されていたSL・C11形を譲り受けた。東武鉄道SL復元チームメンバーなどの手により2019年1月から復元作業を開始。紆余曲折の末、2021年12月24日に火入れ式が執り行われた。

 2022年春から南栗橋車両管区の訓練線で試運転を開始。6月19日に同区で「SL大樹3重連イベント」開催後、7月に営業運転開始の予定だ。

 なお、SLはJR北海道から“レンタル移籍”したC11形207号機も含め、東武博物館が保有し、東武鉄道が運行する。

(文・岸田法眼)

【取材協力:富山地方鉄道、アルピコ交通、北条鉄道、本電気鉄道、伊豆急ホールディングス、近畿日本鉄道、東武鉄道】

〇岸田法眼(きしだ・ほうがん)/『Yahoo! セカンドライフ』(ヤフー刊)の選抜サポーターに抜擢され、2007年にライターデビュー。以降、フリーのレイルウェイ・ライターとして、『鉄道まるわかり』シリーズ(天夢人刊)、『論座』(朝日新聞社刊)、『bizSPA! フレッシュ』(扶桑社刊)などに執筆。著書に『波瀾万丈の車両』『東武鉄道大追跡』(アルファベータブックス刊)がある。また、好角家でもある。引き続き旅や鉄道などを中心に著作を続ける。