アルピコ交通20100形
(2022年3月25日から営業運転開始)

アルピコ交通改称後、初の“新型車両”となった20100形(著者撮影)
アルピコ交通改称後、初の“新型車両”となった20100形(著者撮影)

 アルピコ交通では、松本電気鉄道上高地線時代の1999年10月25日から、元京王電鉄3000系の3000形が活躍していた。しかし、老朽化に伴い2017年ごろから車両更新を検討。そのとき、東武鉄道では、東京メトロ日比谷線直通車の20000系グループから70000系グループへの更新が始まっていた。そこでアルピコ交通は20000系、20050系の中間車を譲受し、先頭車化改造をして「20100形」とし、3000形を置き換えることになった。

 車内の全面リニューアルを行い、明るさが強調されたほか、整理券発行機、運賃箱、半自動ドアボタン(乗客がボタンを押して乗降用ドアを開閉する)、プラズマクラスター発生装置、防犯カメラなどが設置された。旅客情報案内装置は29インチのLCD(液晶モニター)を乗務員室付近及び通路上に設けた。

 20000系グループは最高速度110km/hだが、20100形は65km/h(設計最高速度。営業運転時は50km/h)に引き下げ。乗務員室にはドライブレコーダー、東武鉄道時代に車内で掲示された車両番号のプレートが設置された。

 アルピコ交通によると、「20100形」にした由来は「東武鉄道での活躍に敬意を払うとともに、創立100+1周年、上高地線の全線開通100周年を記念した」という。

北条鉄道キハ40形
(2022年3月13日から営業運転開始)

国鉄気動車が北条線に足を踏み入れたのは36年ぶり(提供/北条鉄道)
国鉄気動車が北条線に足を踏み入れたのは36年ぶり(提供/北条鉄道)

 兵庫県小野市の粟生駅から加西市の北条町駅までを結ぶ北条鉄道は、1985年4月1日に「国鉄北条線」を引き継いだ第3セクター鉄道だ。以前は3両が在籍。開業時から途中駅に行き違い設備がなく、列車が同じ線路を行ったり来たりしていた。

 2020年9月、法華口駅に行き違い設備が完成し、利用客が多い朝夕に計4本増発することになった。当初は1両運転だったが、2021年4月から朝ラッシュ時の2両運転がスタート。サービス向上を図った半面、3両フル稼働という展開になった。このため、予備車がなく、定期検査時や車両故障時の増結できない課題があった。

 そこで予備車を確保するため、JR東日本秋田総合車両センターでお役御免となる「キハ40形」に白羽の矢を立てた。2022年3月までに導入できること、ワンマン化改造ができること。さらにディーゼルエンジンが換装済みのため、向こう10年間は運行できることなどが決め手となった。

 2021年12月12日に搬入されると、運賃表示器、運賃箱、ドアミラーの設置といったワンマン化改造、室内灯をLEDに更新。自動放送も自社初の試みとして、4カ国語(日本語、英語、中国語、韓国語)が流れる。キハ40形の最高速度は95キロメートル/hだが、北条鉄道では速くても60km/hぐらいだという。

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