圧倒的な力でセンバツを制した大阪桐蔭
圧倒的な力でセンバツを制した大阪桐蔭

 4試合(2回戦は広島商の辞退で不戦勝)で51点と圧倒的な強さで4度目のセンバツ優勝を果たした大阪桐蔭。センバツ後に行われた春の大阪府大会も制し、22日に行われた近畿大会1回戦でも和歌山商を9対0で下して新チーム結成以来の公式戦連勝を28に伸ばした。

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 ここまで無敗が続いているが、センバツ優勝校が夏の甲子園に出場することは決して簡単なことではなく、過去10回の大会を振り返ってみても東海大相模(2011年、2021年)、東邦(2019年)は地方大会で姿を消している。しかし大阪桐蔭に限って言えば、過去3度(2012年、2017年、2018年)センバツで優勝したチームはいずれも夏の甲子園に出場しており、そのうち2度で頂点まで上り詰めている。チームとして3度目となる甲子園春夏連覇、そして松坂大輔を擁した1998年の横浜以来となる公式戦無敗の可能性も高いと言えそうだ。

 ただ過去に春夏連覇を達成したチームを見ても、決してその道のりは平坦だったわけではない。藤浪晋太郎(阪神)、森友哉(西武)などを擁した2012年のチームも夏の大阪大会決勝では履正社の激しい追い上げを受け、10対8で何とか競り勝っている。2017年の大阪大会決勝も大冠を相手に10対8と苦戦。また藤原恭大(ロッテ)、根尾昂(中日)、柿木蓮(日本ハム)、横川凱(巨人)とその年のドラフトで4人がプロ入りした2018年のチームも、北大阪大会の準々決勝は金光大阪と2対1の接戦となり、準決勝の履正社戦では、あとアウト1つで敗退というところから何とか試合をひっくり返して逆転勝ちするなど薄氷を踏むような経験もしている。そう考えると、今年のチームも夏の大阪大会を勝ち抜くのは決して簡単ではないだろう。

 打倒大阪桐蔭の最右翼となりそうなのが、やはり近年大阪で2強を形成してきた履正社だ。長年チームを指導した岡田龍生監督が3月で退任となったことでチームの仕上がりを心配する声も多いが、この春も厳しい日程の中でも勝ち抜いて府大会の決勝へと進出。決勝戦でも大阪桐蔭を相手に2対3の接戦を演じるなど健在ぶりをアピールしている。何より大きいのが力のある投手を3人揃えていることだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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履正社以外にも“手強い相手”