「外見から想像できない繊細なところもあります。ファイナリストに選ばれた2020年の『M-1』の会見で、初出場コンビが気をつけるべき点について聞かれた盛山は『スーツの裾と鼻を触らんように』と答えています。これは前年のM-1に出場した際、審査員を務めたナイツの塙宣之から『ネタ中に鼻を触ったりする回数が多い』と指摘されたことから出た言葉。続けて、盛山は『一時期、直立不動で漫才して、汗がボタボタ落ちた。しぐさとかを気をつけて』とアドバイスを送ってましたが、1年間もずっと塙に言われたことを気にしていたのかなと思うと、意外でした。ちなみに、『舌なので熱いの無理』とインタビューで明かしていたことも。そうしたところを見ると、盛山は母性本能をくすぐるようなタイプで、コワモテというギャップも相まって女性ファンが増えているのでしょう」(放送作家)

■フレーズが若者に浸透

 もちろん、見た目通りの「頼れる男」キャラという一面もある。

「痴漢を捕まえたエピソードを以前バラエティー番組で話していました。満員電車で目の前のオジサンが20代くらいの女性のお尻を触っていたのを目撃した盛山が、見かねて注意するとオジサンは否定。すると女性が『ずっと触られてました。助けてください』と訴えてきて、盛山とオジサンは『次の駅で降りて。現行犯や、見たから』『やかましいわ!』みたいな口論になるも、手を捕まえて駅で降ろし、駅員に言って警察を呼んでもらったそうです。そうした、いざとなったら頼りになりそうな男らしいところもある。優しさも感じますし、人間として魅力的な要素をたくさん持っているので、ジワジワと気になる存在になり、いつの間にか盛山のことを好きになっているのだと思います」

 お笑い評論家のラリー遠田氏は盛山の魅力についてこう述べる。

「見取り図・盛山さんの芸人としての強みは、独特のワードセンスとしゃべりの技術です。『あたおか(頭おかしい)』という言葉は最近、若者の間でよく使われるようになったフレーズですが、これはもともと盛山さんが漫才の中で使っていた言葉。このようにオリジナルの言葉を作る能力がある上に、フリースタイルラップを趣味にしていて、即興で言葉をひねり出す技術も備えています。さらに、盛山さんのツッコミはとにかく言い方が面白い。何げないツッコミフレーズでも、盛山さんが発するとどこか間の抜けた感じがかもし出されて、面白さが倍増するのです。一見するとコワモテな感じもしますが、決して攻撃的なツッコミをするわけではなく、イジられるスキもあってかわいげがある。そういうところが人気の秘密だと思います」

 全国ネットの冠番組を持つまでになった見取り図。女性人気が高いとなれば、ますます需要は増えそうだ。(丸山ひろし)

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丸山ひろし

丸山ひろし

埼玉県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集業務に従事。その後ライターに転身し、現在はウェブニュースや、エンタメ関連の記事を中心に執筆している。

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