内野手として明らかに「成功した」と判断できるのは松井稼頭央だ。2004年にメッツで「開幕戦初打席本塁打」でデビュー。05年も開幕戦の初打席で本塁打を放っている。内野手で一番の成功者と言えるだろう。一方、岩村は1、2年目にそこそこの成績を残したが、二遊間を守る選手は走者との接触が多い。外国人に比べたら体が小さな日本人選手は、ケガで思うような成績を残せない。岩村も走者との接触で左ヒザの靭帯を断裂してしまった。

 外野手の守備は走者との接触がないので、日本人スラッガーが成功する確率が高い。しかも、鈴木はゴールデングラブ賞5度の守備を誇るだけに、途中で守備固めを出されないアドバンテージがある。イチローは1年目の01年、メジャー新人最多安打を放ち、衝撃を与えた。首位打者、盗塁王、新人王、MVPと賞を総なめにした。松井秀喜はメジャー10年間で30本塁打以上は1度だけだったが、70打点以上が7度あった。勝負強い中距離打者として活躍を遂げた。

 日本で「ヒットメーカー」と呼ばれた青木は、メジャー6年間で打率3割は一度もなかったが、5度100安打以上をマーク。メジャーで強肩とは言えなかったが、重宝がられたのか7チームを渡り歩いた。

 福留は1年目の08年、メジャー屈指のストッパーであるガニエから同点3ランを放った。四球を多く選び、現地では「カブス打線を変えた男」とも評され、オールスターにも出場を果たした。日本では本塁打を打てて打率も残せる打者だったが、メジャーでは年間平均で、打率.260、10本、50打点前後の中距離打者だった。

 本来、鈴木誠也は本塁打も打てるアベレージヒッターだろう。メジャーの「動くストレート」に対応して、1年目に好成績を残すことが、メジャーで成功するための第1段階となる。(新條雅紀)

 ■主な日本人メジャーリーガー(野手17人) ※通算成績は21年まで

【捕手1人】
・城島健司/(1年目)2006年、(打率).291、(本塁打)18、(打点)76/(通算)268、48、198(マリナーズ)

【内野手7人】
・松井稼頭央/04年、.272、7、44/.267、32、211(メッツほか)
・井口資仁/05年、.278、15、71/.268、44、205(ホワイトソックスほか)
・岩村明憲/07年、.285、7、34/.267、16、117(レイズほか)
・川崎宗則/12年、.192、0、7/.237、1 、51(マリナーズほか)
・田中賢介/13年、.267 、0 、2/.267、0、2(ジャイアンツ)
・中村紀洋/05年、.128、0、3/.128、0、3(ドジャース
・西岡剛/11年/.226、0、19/.215、0、20(ツインズ)

【外野手9人】
・イチロー/01年、.350、8、69/.311、117、780(マリナーズほか)
・新庄剛志/01年、.268、10、56/.245、20、100 (メッツほか)
・田口壮/02年、.400、0、2/.279、19、163(カージナルスほか)
・松井秀喜/03年、.287、16、106/.282、175、760(ヤンキースほか)
・福留孝介/08年、.257、10、58/.258、42、195(カブスほか)
・青木宣親/12年、.288、10、50/.285、33、219 (ブルワーズほか)
大谷翔平/18年、.285、22、61/.264 、93、247 (エンゼルス)
・筒香嘉智/20年、.197、8、24/.209、16、56(レイズほか)
・秋山翔吾/20年、.245、0、9/.224、0、21(レッズ)