カブスの鈴木誠也
カブスの鈴木誠也

 ナ・リーグの4月の月間最優秀新人に選ばれたカブスの鈴木誠也。日本で6年連続「打率3割25本塁打75打点以上」の成績を残した、当代きってのスラッガーだけに、メジャーリーグでのプレーに注目が集まっている。このまま長く活躍できるのだろうか。「主な日本人メジャーリーガー(野手17人)」の打撃成績を見ると、明らかな傾向が見てとれる。

【図】2013年からこれまでの鈴木誠也の成績はこちら

 日本野球、特にセ・リーグとメジャーリーグには大きな違いがある。日本は「ボールになる変化球を打たせて勝負」し、メジャーリーグは「ストライクゾーンで勝負する」という違いだ。日本人メジャーリーガーとして活躍した経験があるストッパーは「初球、打たれてもいいからストライクを投げてくれ」と首脳陣に強く言われ、面食らったそうだ。

 昨年までの鈴木は「際どいコースで勝負、カウント次第で歩かせよう」というバッテリーの配球により、四球を多く選んだ。しかし、メジャーではストライクゾーン外角高めのカットボール系にアジャストし、長打を放つシーンがよく見られる。しかも、メジャーの日本人投手が活躍できる理由とも共通するが、日本のようにフォークボールやスプリット系の落ちる球を投げる投手が少ないことも鈴木にとって追い風になっているだろう。

 さて、過去の日本人メジャーリーガーは、何をもって「成功した」と判断できるだろうか。「世界一のチャンピオンリング」を手にした野手には井口資仁、田口壮、松井秀喜、川崎宗則、青木宣親らがいるが、イチローにはついに縁がなかった。

「成功」の定義は難しいが、仮に「5年以上在籍で500安打」と定義すると、この条件をクリアしたのは17人中、松井稼頭央、イチロー、松井秀喜、青木の4人しかいない。「4年以上在籍で400安打」まで枠を広げると、城島健司、井口、岩村明憲、福留孝介の4人が加わる。その8人のすべてに共通するのが、「1年目に好成績を残している」ことだ。

 逆に言えば、川崎、田中賢介、中村紀洋、西岡剛ら、1年目に好成績を残せなかった選手はメジャーで長続きしていない。秋山翔吾も苦戦している。よく言われる「(ミートする)手元で微妙に動くストレート」に1年目から対応できないと、その後も対応は難しいのかもしれない。また海外FAやポスティングシステムで、それなりの待遇で移籍するだけに、1年目から成績を残さないと次年度以降の契約は厳しいと推測される。

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