1990年代に少年時代を過ごしたウェリンガさんは、他の子供と同じく、華やかなプレーや性格で絶大な人気を誇ったケン・グリフィー・ジュニアのファンだった。しかし、大谷の2021年の活躍で、自身の中でそのグリフィーを超えたと話す。二刀流という誰もできないことをやった。しかも、投打のそれぞれでトップレベル。「ホワイトソックスの選手ではないから応援できない」という次元を超えた、「Anomaly(通常の枠組みを逸脱しているもの)」なのだと言う。

「野球ファンとして、彼に敬意を示さなくてはならない。翔平は応援するけど、エンゼルスは応援しない術を身につけました。エンゼルス対ホワイトソックスの試合では、翔平が6回くらいを抑えた後に、エンゼルスのリリーフ陣が打たれてホワイトソックスが勝てばいい。簡単なことです(笑)」

 息子を含めて、大谷は全ての野球少年のロールモデル(お手本となる人物)だと述べた。

 野球の実力はもちろんだが、お金や周囲の期待に振り回されない「強い芯」があるからだと言う。

「彼は僕らが野球を愛する理由を体現してくれている。若い世代は地位や人気やお金のことばかり気にしていると思われていますが、大谷はその逆です。人気球団のヤンキースに行かず、2年待てば2億ドル以上の大型契約を結べたにもかかわらず、早くアメリカにやってきた。子どものように純粋に野球が好きなんでしょう。彼は野球が必要としているスターなんです」

(在米ジャーナリスト・志村朋哉)