(左上)2021年、日本の全大学のうち、女性が学長を務める大学は13%。01年の7.4% から少し上がったものの、依然として少ない状況。(右上)アメリカの女性学長は、2001年の約21%から、16年には約30%に推移(American Council onEducation「College Presidents, by Gender」から)。(下)日本の女子大学で女性が学長を務めるのは29%。津田塾大、お茶の水女子大、東京家政学院大、日本女子大など22校だった(22年3月時点)
(左上)2021年、日本の全大学のうち、女性が学長を務める大学は13%。01年の7.4% から少し上がったものの、依然として少ない状況。(右上)アメリカの女性学長は、2001年の約21%から、16年には約30%に推移(American Council onEducation「College Presidents, by Gender」から)。(下)日本の女子大学で女性が学長を務めるのは29%。津田塾大、お茶の水女子大、東京家政学院大、日本女子大など22校だった(22年3月時点)

 近年はリーダーシップ教育が注目され、女子大学も女性リーダーの育成に力を注ぐ。高橋学長はリーダーシップについて、人の上に立つ役割のみを指すわけではないと、その本質を語る。

「本当に大切なのは、自分の人生を自分でリードできるようになることです。現代の女子大学には、学生の個性を尊重し、独自の人生を展開するための自立心を育むことが求められているのです」

■日米の女子大学の違い 社会正義への意識の差

 そんな高橋学長が「本学の誇り」とすることがある。津田梅子を初代とする11人の学長のうち、10人が女性であることだ。関東大震災や太平洋戦争などのさまざまな時代の困難に女性が主体となって立ち向かい、乗り越えてきた。

「120年余りの歴史を女性がつないできたストーリーは本学の誇り。折に触れて学生に話し、『次は皆さんの番ですよ』と伝えています」

 津田梅子の研究をライフワークとしながら、日米の女性史研究を行っている高橋学長。アメリカの名門女子大であるウェルズリー大やバーナード大、津田梅子が留学したブリンマー大などについても研究に取り組んできたが、日米の女子大学の違いを感じることも多かった。

「アメリカの女子大学で感じたのは、Social Justice(社会正義)やEquity(公平性)に対する意識の高さ。教員も学生も、男女格差や人種差別、移民問題や環境問題などの社会的課題に立ち向かい、解決していかなければという使命感を持っています。日本の女子大学も、今後はもっと社会に対して積極的にアプローチする姿勢が求められていくと思います。また、女子大学の学長の女性比率はアメリカが約9割で日本は約3割。大学運営における女性の参画にも差が見られます」

■「女子大学でよかった」 卒業式を迎え、学生は

 近年は中学・高校の段階から女子校離れが進んでいると言われ、学生を集めるために共学化に踏み切る大学も出てきている。こうした現状について高橋学長は、次のように考察する。

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二者択一論ではない