帯状疱疹(たいじょうほうしん)との関係も報告されています。帯状疱疹とは、小児のころにかかった水疱瘡(みずぼうそう)のウイルスが神経に潜伏しており、免疫の監視下で人間の体で共存していたものが、なんらかのきっかけにウイルスが再活性化する病気です。症状としては、ヒリヒリした痛みやかゆみ、水ぶくれを伴う発疹が体の半分側に帯状に広がります。症状が強いと発疹が治った後も痛みだけ続く、帯状疱疹後神経痛というものが残ります。

 COVID-19がパンデミックとなった最初の1年間に感染した50歳以上の人は,COVID-19と診断されていない人に比べ帯状疱疹にかかるリスクが高かったことがわかりました。これは、COVID-19によって免疫機能に重要な白血球が減少したり、機能が低下したりするからと考えられています。

 以上が、2020年に流行した初期のコロナに伴うLong COVIDのまとめです。現在流行している、オミクロン株やオミクロンの組み換え体「XE」が長期にどのような影響を与えるかはまだわかっていません。また、最近、コロナワクチンによる帯状疱疹のリスクも報告されています。医学の情報のアップデートはかなり早いです。今後は、リスクとベネフィットのバランスを考えながら、感染症対策を行っていく必要があるでしょう。

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大塚篤司

大塚篤司

大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部特定准教授を経て2021年より近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授。皮膚科専門医。アレルギー専門医。がん治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行っている。Twitterは@otsukaman

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