ドアスコープを通して、家の中を見知らぬ人に覗かれている可能性がある。画像はイメージ(PIXTA)
ドアスコープを通して、家の中を見知らぬ人に覗かれている可能性がある。画像はイメージ(PIXTA)

 訪問者を確認するため玄関ドアについている「ドアスコープ」。レンズの性質上、外からのぞいても室内はほとんど見えないが、ある道具を使ってそれを可能にするやり方がネット上に数多く掲載されており、のぞきや盗撮に悪用されるケースが相次いでいる。入社や入学で初めて1人暮らしをする人が多いこの時期、早めの対策が必要だ。

【写真】過去のドアスコープ盗撮に使われた道具

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 ドアスコープは一般的に魚眼レンズになっており、室内からのぞくと外が広く見渡せる。逆に外からのぞいても、室内は良く見えない作りになっている。

 だが、すべてのドアスコープに当てはまるわけではないものの、「単眼鏡」を使うと光の屈折が打ち消され、外からでも室内を見ることが可能になる。

 単眼鏡とは望遠鏡の一つで、手軽に携行でき市販でも数千円で手に入る。

 また、最近では「リバースドアスコープ」などの商品名で、外からドアスコープを通して室内を見ることを可能にした専用の単眼鏡が販売されている。「帰宅した際、室内に不審者がいないかどうか外から確認できる」との防犯目的を掲げた商品だが、悪用される可能性は当然ある。大手警備会社はホームページで、スマートフォンと組み合わせることで室内を盗撮される可能性がある、と注意喚起している。

 ネットには、単眼鏡を使った手口を紹介する動画やサイトなどが数多くある。

 多くの犯罪を分析し、防犯指導を行っている立正大の小宮信夫教授(犯罪学)は、「ネットで手口を学び犯行に及んだ事案が多く、今後さらに増えていく可能性があります。こうした犯罪を周知し、皆さんが防犯意識を高めていかに早く対策を施すか。悪用に走る犯罪者との、まさに競争です」と指摘する。

 昨年だけでも、京都のマンションに侵入し、単眼鏡とドアスコープを通して室内にいた着替え中の女性をスマホで盗撮した42歳の男が逮捕。大阪でも同様の手口でマンションで盗撮した40歳の男が逮捕された。新潟では、この手口で女子大生の室内をのぞき見た30代の警察官が逮捕されている。いずれも常習だったとみられる。

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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