第34回ABCお笑いグランプリで優勝したジャルジャル=2013年1月27日、大阪市北区の朝日放送

 売れれば売れるほど高額になるテレビのギャラには依存せず、自らのフィールドのみで大成功を収めているジャルジャル。これはやはり、彼らがコント師としてのスキルを究めてきたこそなせる業だろう。

「やはりネタを作る力が飛び抜けて高い。彼らがネタを作る際、作家もマネージャーも入れず、ふたりだけで作り上げていくのは有名な話。“余計な意見”が一切介在しないからこそ、年間300本も量産できるわけです。また、テレビのバラエティーどころかダウンタウンのコントにも触れてきてないため、笑いの作り方がほかの芸人とはまったく違うという側面もあります。彼らは、ダウンタウンの流れをくまないコンビとして有名ですが、松本人志さんは過去M-1で『(ジャルジャルが)一番おもろかった』と褒めたほどです」(前出の放送作家)

 お笑い評論家のラリー遠田氏はジャルジャルについてこう述べる。

「ジャルジャルというコンビを一言でたとえると“コントを量産する工場”です。彼らはデビュー以来、黙々と質の高いコントを作り続けてきました。良質なコントを大量に作るだけでもすごいことですが、面白く演じる演技力も備わっているので、非の打ちどころがありません。もともと周囲の状況に関係なく、自分たちのペースでネタ作りを進めてきたタイプなので、コロナ禍で営業やテレビ出演の機会が減っている今の状況は、むしろ彼らにとって好都合なのかもしれません。圧倒的なネタの質と量を誇る彼らは、もともとYouTube向きの芸人だったので、これからも時代の流れに関係なく、ずっと面白いコントを作り続けていくはずです」

 新しい形でお笑いをマネタイズするジャルジャルには、まだまだ注目が集まりそうだ。(藤原三星)

著者プロフィールを見る
藤原三星

藤原三星

ドラマ評論家・芸能ウェブライター。エンタメ業界に潜伏し、独自の人脈で半歩踏み込んだ芸能記事を書き続ける。『NEWSポストセブン』『Business Journal』などでも執筆中。

藤原三星の記事一覧はこちら