フランクフルト(ドイツ)の鎌田大地(25)も評価が高い。現時点で冨安に次ぐ市場価格29億円をつけている。最近の試合でもゴールを決めるなど活躍を見せており、実力は申し分ないが、「森保監督は4-3-3のフォーメーションで鎌田のポジションをみつけられないと判断したのでは」(栗原氏)との声もある。

 セルティックの古橋亨梧(27)も7億2千万円と高額な市場価格がついている。ファンのハートをつかんで離さないアグレッシブなプレーでゴールを量産していたが、先の冨安同様にケガで戦線離脱中だ。

■海外が目をつけた日本選手

 豪州戦でこうした選手たちの活躍が見られないのは寂しいかぎりだが、今回、代表に選出されていない選手のなかでも“要注目”の存在はいる。

 今後有力な選手の一人として名前が上がるのが、遠藤と同じシュツットガルトに所属し、ディフェンシブなポジションで評価がうなぎのぼりの伊藤洋輝(22)だ。昨年、J2のジュビロ磐田からシュツットガルトにレンタル移籍をし、市場価格が急上昇。3億9千万円になっている。北條氏はこう語る。

「190センチ近く身長があり、かつ、スピードもある。左利きでキック力がありながらも精度の高いパスが出せるのも強みですね。レンタル移籍でドイツに行きましたが、買い取りオプションを行使するという話も出ています。今後、冨安とともに日本代表のDFとして活躍することもあり得る。ポテンシャルのかなりある選手です」

 現在、鹿島アントラーズで活躍する鈴木優磨(25)も有望な選手だ。19年にシントトロイデンVV(ベルギー)に移籍し、翌年には17ゴールでチーム内の得点王となった。今年から古巣の鹿島アントラーズに戻ってきた。市場価格は2億6千万円と、これまでの選手と比べれば低めだが、前出の栗原氏はこう見ている。

「点も取れるし、センターでもサイドでも広いポジションをこなすことができる選手です。ポストプレーもこなす力強さもある。海外で活躍した経験も大きいです。ここまで招集するチャンスがありながら1度もメンバー入りしていないことを考えると森保監督好みではないのかもしれないですが、見てみたい選手ですね」

 もう一人、活躍を見逃されているかもしれない有望な選手がいる。グラスホッパー(スイス)の川辺駿(26)だ。今季、サンフレッチェ広島から移籍し、主力として活躍している。その安定感のあるプレーが注目され、イングランド・プレミアリーグで「ウルブス」の愛称で知られ、くせ者揃いの選手が集まるウルヴァーハンプトン(イングランド)に移籍予定になっている。市場価格は1億7千万円だが、栗原氏はこう見る。

「今回招集された守田、遠藤、田中碧が機能しているので、川辺までチェックができていなかったかもしれませんね。ただ、代表に選ばれてもいい選手だと思います。予選を突破すれば、11月の本大会まで時間があるので、移籍先で活躍をすれば、この3人の間に割って入ってくることもあり得ます」

 代表に選出されなかった選手を含め、国内で、世界で、活躍するプレーヤーはまだまだいる。まずはオーストラリア戦で注目の選手がどのような戦いを見せるか。期待しよう。

(AERAdot.編集部・吉崎洋夫)

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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