センバツの選考が話題となった高校野球。他に「変えて欲しい」と思うところは?
センバツの選考が話題となった高校野球。他に「変えて欲しい」と思うところは?

 3月18日に開幕する第94回選抜高校野球大会(以下、センバツ)。新型コロナウイルス感染流行後では、2度目の開催となるセンバツで、入場上限2万人、全席チケットは前売り販売等の制限は設けているものの、一般観客の観戦受け入れ、アルプススタンドでの吹奏楽応援の許可など、少しずつではあるが、「with コロナ」での全国大会開催の骨組みができつつある。

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 そういった意味で、高校野球、甲子園にとって大きな意味を持つ大会となりそうだが、1月28日の出場32校発表時から不穏な空気が漂ってしまった。

 大きな波紋を呼んだのが、読者の皆さんもご存じの通り、聖隷クリストファーの落選だ。昨秋、劇的な試合運びの連続で東海大会準優勝。決勝で日大三島に敗れたものの、春夏通じて初の甲子園出場を手中に収めたかに思われた。

 だが、同大会4強の大垣日大が、東海2校目に選ばれ、聖隷クリストファーは落選。補欠校に回った。この憂き目に上村敏正監督監督は「選手はやりきれない」と嘆くしかなかった。選考理由として発表された「個人の力量に勝る大垣日大」という表現も波紋を呼び、SNS上では炎上に近い形となった。

 だが、各都道府県の王者が集う夏との差別化を図る意味合い、「招待大会」という側面を持って発展してきた大会ということもあり、こういった逆転の選出はどうしても起こってしまうことでもある。

 そういった点から、今回の大垣日大選出という“結果”は是としたいが、ここに至るまでの“過程”に関しては、いささか問題があったように感じる。

 元々センバツは、夏の選手権大会と違って、「予選をもたない」ことを特徴としている。秋の公式戦の戦績はあくまで「重要な参考資料」なのだ。

 だが、秋の公式戦が実質的な予選と化しているのは事実で、地区大会の終盤には各メディアに「出場をほぼ確実とした」「当確ランプを灯した」といった表現が頻発する。
 
 過去の大会を振り返ると、前年秋の中国大会で4強入りしていた江の川(現・石見智翠館)を抑え、8強の宇部商が選出された1988年、近畿大会で未勝利の近大付が近畿6枠目を射止めた2003年など、大方の予想を覆す“サプライズ”選出が発生したケースはある。

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センバツの選考で必要な“落としどころ”