西川は20年オフにメジャー移籍を目指すも交渉がまとまらず残留した経緯もあり、モチベーション低下もあったのだろう。昨年は24盗塁で自身4度目の盗塁王を獲得したものの、130試合出場で打率.233、3本塁打、35打点と14年のレギュラー獲得以来ワーストの成績となった。年俸2億4000万円(推定)の金額には見合わないと判断されても不思議ではない。メジャー側の評価も芳しくない中、国内の他球団移籍が現実的な選択肢だった。年俸は65%減の8500万円(推定)となったが、移籍先が見つかったことを喜ぶべきかもしれない。

 とはいえ、年齢はこれから円熟味を増す30歳。これまでNPB通算10年間で1232安打、311盗塁をマークし、ベストナイン2回、ゴールデングラブ賞4回、盗塁王4回と実績は十分なだけに、さらなる成長も大いに期待できる。楽天にとっては“安い買い物”になる可能性も決して小さくない。

「気持ちに左右されやすい。良い方向に出た時は身体能力を生かした素晴らしいプレーを見せてくれる。しかし気分が乗らない時は凡ミスを犯してしまう時もある。波が大きいので計算しにくい選手なのは確かです」(日本ハム担当記者)

 だが、今は自身の置かれた状況を冷静に受け止め気持ちの変化もあったのだろう。楽天移籍後はキャンプから明るく、楽しそうにプレー。若手選手にも積極的に話しかけるなどムードメーカー的な役割も果たしている。

「日本ハム時代のことは聞いていましたが実際は違いました。キャンプ終盤などは疲れもあるはずなのに明るく振る舞い、誰にでも分け隔てなく気軽に声をかける。手本を見せてアドバイスを送っている場面も見かける。経験、実績がある選手なのでチームにとって多大な影響力がある。優勝へ向けて大きな補強だと思います」(楽天関係者)

「トータルアベレージは2割8分くらい打ってる。3割もしっかり打ったこともある。あのパ・リーグのすごいピッチャーの中で。本当に気持ち次第だと思う」(2021年12月11日/高木豊氏の公式YouTubeチャンネル)

 かつて横浜などで活躍した高木氏も西川の能力を高く評価。特に走塁に関しては「間違いなく真剣にやらせたら盗塁王取る」と戦力的に申し分ないと語っている。気持ちの面でも変化の見られる今季はこれまで以上の成績を残せるかもしれない。

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西川は野球以外でもチームに貢献