【心カテーテル治療】治療の選択肢が増加 新たな検査方法で診断技術も低侵襲に

いい病院

2022/03/19 16:00

 週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2022』では、全国の病院に対して独自に調査をおこない、病院から得た回答結果をもとに、手術数の多い病院をランキングにして掲載している。また、実際の患者を想定し、その患者がたどる治療選択について、専門の医師に取材してどのような基準で判断をしていくのか解説記事を掲載している。ここでは、「心カテーテル治療」の解説を紹介する。

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  心臓の血管や弁の不具合を、カテーテルという細いワイヤに取り付けた器具によって治療するのが「心カテーテル治療」だ。カテーテル治療は低侵襲性で注目され、さまざまな心臓病におこなわれるようになっている。そのなかでも治療が確立されているのが、「経皮的冠動脈形成術(PCI)」だ。

 PCIは、「虚血性心疾患」といわれる狭心症や心筋梗塞などに対しておこなわれる。この疾患は、心筋に栄養を供給する冠動脈が狭くなったり詰まったりして、血流が途絶えて心筋が壊死してしまう病気だ。PCIでは、カテーテルを手首の動脈などから入れて冠動脈へ到達させ、カテーテルの先に装着した「ステント」という筒状の金属で血管を広げる。ステントには再狭窄を防ぐ薬物がコーティングしてある。

■診断技術も進化し、治療の要不要を厳密に判断できるように

 外科のバイパス手術に比べると、PCIはからだへの負担が少ないため、命に関わる主要な血管以外が詰まった場合などには積極的におこなわれる。 

 近年は、検査による診断技術も進化し、治療の要不要を厳密に判断できるようになってきた。「冠血流予備量比(FFR)」という検査では、冠動脈のなかにワイヤを入れ、狭くなった血管の前と後で、血管内の圧の比率を測ることで、治療の必要性が判明する。このFFRとCTを組み合わせた「FFR-CT」が開発され、2018年に保険適用となった。今後普及が進むと、さらに正確に治療の適応を決められるようになるだろう。

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内科と外科が協力して治療にあたる

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