自民党衆院議員の柴山昌彦氏
自民党衆院議員の柴山昌彦氏

 2月4日、衆議院議員で、共同養育支援議員連盟の会長を務める柴山昌彦氏は、自身のツイッターでこう発信した。

<2月3日の共同養育支援議員連盟総会で政府と協議。片親による子の連れ去りについて警察庁はこれまで「法に基づき処理」一辺倒だったが、昨日ようやく、同居からの連れ去りか別居からの連れ戻しかを問わず、正当な理由がない限り未成年者略取誘拐罪にあたると明言。これを現場に徹底するとした>

 このツイートの重大なポイントは、警察庁が「同居からの連れ去りか別居からの連れ戻しかを問わず」「未成年者略取誘拐罪にあたると明言」したところにある。

 これまで警察は子どもの連れ去りについては「民事不介入」という原則を堅持してきた。それが、柴山氏のツイートによれば、警察は今後、連れ去りであっても未成年者略取誘拐罪として扱う、というのだ。

 柴山氏のツイートに対しては、SNS上でもさまざまな意見が飛び交った。

 配偶者に子どもを連れ去られた立場の人たちからは「連れ去りに対する大きな抑止力になる」と期待の声が上がった。

 逆に「これが現実になると、DVをされて子どもを連れて逃げた親が罪に問われてしまう」という否定的な意見も少なくない。

 SNSで指摘された懸念について、柴山氏は次のように話す。

「DVについては『正当な理由』に当たりますので、DVをされて逃げた人が罪に問われることはありません。問題は、正当な理由がなく子どもを連れ去った人でも、それが罪に問われないばかりか、『監護の継続性』の原則によって連れ去りが正当化され、親権を獲得できてしまうということです」

 これまでは、子どもを連れて家を出ていくのは圧倒的に母親が多く、世間の声もそれを前提としていた。夫の暴力から命からがら逃げる母子は、法律で守られなければならないが、DVがあったか否かの判断は難しく、保護できていないケースがあるのも現実だ。一方で、母親であっても夫に子どもを連れ去られるケースも少なくない。

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現行法でも家庭裁判所に「保全処分」は可能