「少なくとも、子連れ別居をしたら1カ月以内に調停の申し立てを義務づけ、保全処分などで急場の対応をしながら面会交流を進めるなど、親子が引き離されている状態を継続させないようにすべきです」(柴山氏)

 現行法でも、家庭裁判所に「監護者の指定、子どもの引き渡し審判」や、早く子どもと会えるように審判前の「保全処分」を求めることができる。また、監護者指定が認められなくても、「面会交流」を申し立てることによって子どもとの定期的な交流を求める仕組みも用意されている。他方で、現状では、保全処分などは裁判所の人員不足などで時間がかかることもある。

 警察庁刑事局に「子どもの連れ去り」「連れ戻し」に対する見解と現場への周知について質問状を出すと、文書でこう回答した。

「子の連れ去り、連れ戻しについて、刑罰法令に触れるものがあれば、法と証拠に基づき適切に対処していきます」

「警察活動に資する情報等の都道府県警察への周知については、必要に応じ適宜適切に行っています」

 映美さんは、夫の連れ去り行為後、家庭裁判所に「監護者指定と子の引き渡し」と「保全処分」の申し立てをした。保全処分は「子どもは夫の実家で安全に暮らしているため緊急性がない」として棄却されたが、映美さんが夫らの行為を「未成年者略取誘拐罪」で刑事告訴したところ、警察に受理された。結局、家庭裁判所も映美さんに監護権を認めたことから、刑事告訴の取り下げを条件に、子どもを引き渡され、離婚が成立。時間はかかったが、今では子どもと一緒に暮らしている。

 子どもの連れ去りについては、当事者間の意識の隔たりが大きく、さまざまな議論がある。これからも注目していきたい。(上條まゆみ)

【お詫び】記事中の女性について、3月9日に配信した当初の記事では子どもと会えないままであるかのように受け取れる表現になっていたため、同月12日に訂正しました。この際、関連部分の修正や補足も施しました。さらにまた、この女性のエピソードは子どもを連れ去られた親の気持ちを表すために例として取り上げたものですが、事実関係について一方の当事者の言い分のみを取り上げることにならないよう、改めて4月18日、資料をもとに修正しました。併せて現行の法制度に関する記述も補足しています。読者の皆様にお詫びして、訂正します。