不眠症で眠れないと「夜いかに眠るか」にばかり目が向きがちになるが、実は、夜眠るためのからだの準備は朝目覚めたときから始まっている。快眠のために、生活やからだのリズムを整えることの大切さを理解しておきたい。
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不眠症とは、夜眠れず、そのせいで日中の生活に支障をきたすことをいう。不眠改善のためには一日を通して生活を見直すことが必要だ。スリープ・サポート クリニック理事長の林田健一医師はこう話す。
「私たちは、朝早く起きて日中に活動してからだが疲れること、そして、からだに備わる『概日リズム』という24時間周期のサイクルが正常に働くことで、夜になると自然に眠くなります」
夜、よく眠るためには昼間しっかりからだを動かすことと、概日リズムを整えることが大切だ。生活を見直すだけで不眠症状が改善する人も多いという。そのための第一歩が、毎朝なるべく同じ時間に起床し、朝日をしっかり浴びる習慣をつけることだ。
東京足立病院院長で日本大学医学部客員教授の内山真医師はこう話す。
「夜眠れないからといって起きる時間も遅くなるのではなく、朝、一定の時間に起きることが大事です。そのときにカーテンを開けてしっかり朝日を浴びてください。朝日を浴びることで体内時計がリセットされ、からだが夜眠るための準備を始めるのです」
高齢になると、夜中に目が覚めたり、朝早く目が覚めたりすることがある。これは加齢により睡眠時間が短くなることも一因だが、眠れないからと早い時間からふとんに入ることで、かえって不眠となっている可能性も。そのため、「早寝早起きではなく、少し遅寝早起きをすすめる」と内山医師。
また、適度な運動をすることもすすめられる。
「夜は、寝る時間に向けて深部体温(身体の内部の温度)がだんだん下がっていくことで、スムーズに眠りに入れるようになります。夕方ごろ軽い運動をして深部体温を上げておくといいでしょう」(林田医師)