羽生結弦選手の北京五輪のSPの演技
羽生結弦選手の北京五輪のSPの演技

 世界中で高い人気を誇る羽生選手だが、ファンの熱狂ぶりはアイドルを超える勢いだ。昨年末、羽生選手が所属するANAが展開した「羽生結弦選手応援グッズプレゼントキャンペーン」で、限定1000枚で抽選配布されたオリジナルタオルは現在、フリマアプリなどで1枚5~8万円前後という高値で取引されるほどにプレミア化。昨年、東日本大震災から10年という節目に開催された展覧会「羽生結弦展 共に、前へ」の関連グッズも、個数制限が設けられる争奪戦となった。スケートファン以外からの人気も高い羽生選手だが、長年にわたって見守ってきた筋金入りのスケートファンから見た、羽生選手の魅力はどこにあるのか。

「羽生選手は、いわばドラえもんの“出木杉君(デキスギ君)”。スケートが神レベルにうまくて品行方正。そしてフィギュアスケートに適した手足の長さと細さ・顔立ちといった美しいビジュアル、立ち居振る舞い……全ての魅力がパッケージになっているのが羽生選手の魅力」(田中さん)

 羽生ファンで、これまで羽生選手の応援バナー製作を多数手がけてきた鈴木優子さん(仮名・53・自営業)も、こう続ける。

「見目麗しく、凛とした佇まいで、貴公子という言葉がぴったり当てはまる人物。東日本大震災を経験し、逆境をバネに頑張る姿も、他にないストーリー性がある。ナルシストっぽさもあるけれど、あそこまで自分を極めて徹底できる人物はなかなかいない。こんなにドラマ性のある選手は、二度と現れないかもと思う」

 こうした筋金入りのスケートファンの応援ぶりは、想像を超えた世界だ。1シーズンのレギュラーの試合に全て参加しようと思うと、海外の試合の渡航費も含めると、安く見積もっても150万円前後はかかる。チケット代も正規料金で1万~2万円前後と決して安くはない。そのため、長年会場で応援しているファンな比較的裕福な人が多いという。

 徹底して会場に通う中で、選手がどのホテルに泊まっている、どこそこの通路を通ってどのタイミングで出入りする、といった極秘情報をキャッチできるようになるのだとか。12月の全日本選手権が、コロナの影響で2年ぶりの試合観戦だったという前出の田中さんも、こうした極秘情報をもとに、本来は非公開の公式練習を見ることができた。「コロナ対策で入場時の混乱を避けるために、発表されている時刻より早く開場するようだ」という情報を、ファン仲間が教えてくれたのだという。

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最後まで残るのは筋金入りのファン