高梨はW杯では男女通じて歴代最多の61勝、表彰台110回、女子歴代最多のシーズン個人総合優勝4回を記録している。17年にホルメンコーレン・メダルを受賞し、18年の平昌五輪では銅メダルを獲得するなど世界的なトップアスリートとなった。

「勝手に差を感じていたんでしょうね。高校、大学時代までは同じアスリートという感覚すらなかった。他の人たち同様、いちファンとして応援したり結果に一喜一憂していました。自分がプロを目指したいという気持ちになってから見る目が変わった気がします。尊敬できる存在で負けたくない気持ちが出てきてモチベーションの対象にもなりました」

 大友は大学時代に急成長、本気でプロを目指したいと思い練習に明け暮れハナマウイへ進んだ。明確な目標が定まったことで同じアスリート目線で高梨を見られるようになったと語る。

「自分も負けないくらいやらないと上を目指せないと感じました。沙羅が小学生の時から頑張っているのは知っていました。早くから海外転戦をして大変な思いもしていたはずです。それに比べると自分は足元にも及びません。また野球は団体競技なのでミスをしてもカバーしてもらえますが、個人競技は自分一人で勝負しているのも凄い。メンタルも強いんでしょうね。五輪で沙羅が頑張っているのは大きな刺激になっています」

 オリンピアンと社会人のクラブプレイヤー。立場は違えどアスリートとして大きな刺激を得ていることは間違いない。高梨の五輪でのパフォーマンスは、まもなくシーズンが始まる大友にも大きな力を与えるはずだ。(文・山岡則夫)

●プロフィール
山岡則夫/1972年島根県出身。千葉大学卒業後、アパレル会社勤務などを経て01年にInnings,Co.を設立、雑誌『Ballpark Time!』を発刊。現在はBallparkレーベルとして様々な書籍、雑誌を企画、編集・製作するほか、多くの雑誌、書籍、ホームページ等に寄稿している。Ballpark Time!公式ページ、facebook(Ballpark Time)に取材日記を不定期更新中。現在の肩書きはスポーツスペクテイター。