下村健寿医師
下村健寿医師

 糖質制限、間欠的ファスティング、食事記録法……次々に新しいダイエット法が流行しますが、果たしてどれくらいの人が、理想の体型を維持できているのでしょうか? ダイエットに挑戦しては失敗に終わり、鏡の中の自分を見てはうなだれる日々を過ごしている人は少なくないはずです。糖尿病・肥満外来に従事する下村健寿医師は著書『オックスフォード式最高のやせ方』(アスコム)で、流行りのダイエットを医学的に分析して、その問題点をあぶりだしています。一部抜粋して紹介します。

【最高のやせ方って?】

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 まず、ダイエットに失敗した、続かないと嘆いている人は、安心してください。それは、あなたの意志が弱いからではありません。これまで話題になったダイエット法は、“短期間で見れば”すべて効果があります。ただ、大きな問題点が2つあるのです。

(1)減量できても健康を害する
 体重が減っても、体力が落ちてやる気がなくなってしまったり、病気になって寿命が縮んでは、意味がありません。

(2)ダイエット後の体重を維持できない
 代表的な14のダイエット法について、1年後にはリバウンドしてその効果がなくなっているという論文もあります。

 身に覚えのある例がたくさん思いつくことでしょう。しかし、これまでに多くのダイエットに挑戦し、挫折してきた経験は、「健康的にやせた体を手に入れて、さらに維持する方法」へとつなげられます。

 大事なのは、「なぜ、これまでのダイエットが失敗してきたか」。その過去から学ぶことなのです。

■太ってしまう原因は恋と同じメカニズム

 あなたには気になる人がいますか? なんとかして親しくなりたい、思いを伝えたい。いまでなくとも、誰もが経験したことがある恋心。もしもそのとき、「あなたの強い意志のもと、恋する気持ちを抑えることができますか?」という問いかけがあったら、どう答えるでしょう。気持ちを抑えるなんて、きっと無理なはずです。

 実はこのときと、「お腹いっぱいだなぁ」と思いながら目の前に大好きなケーキを差し出されると食べてしまいたくなるときとは、脳内で同じメカニズムが起こっているのです。

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快感を得るための食欲とは?