だが、150キロを超える直球で内角を執拗に攻められるパ・リーグの配球に打撃を狂わされる。踏み込みが甘くなり、真ん中や外角の球に打ち損じや空振りが目立つようになった。移籍初年度の1年目は60試合出場で打率.168、9本塁打、22打点。ファーム降格した際に自身のインスタグラムで、ヤクルトのユニフォームを着てバットを持った過去の写真を添え、「Money don’t buy happiness(お金で幸せは買えない)」と意味深なメッセージを綴り、ファンから批判が殺到する事態になった。復活を期した昨年も6月以降は2軍暮らしが続き、22試合登板で打率.182、4本塁打、9打点とふるわず。10月に退団して日本球界でのプレーを模索していたが、獲得に乗り出す球団が現れず断念した。

「37歳という年齢、速い球への対応を見ると厳しい。他球団で現役続行を望むなら、体を絞ってファームの試合でもっと必死な姿を見せてほしかった。19年オフにソフトバンクが獲得すべきではなかったという声もありますが、その判断は難しい。60本塁打打てるとは思わなかったが、30本塁打はまだまだ打てるという見方が多かったし、右の長距離砲という補強ポイントにも合致していた。このような結果になったのはソフトバンクとしても大きな誤算です」(スポーツ紙記者)

 NPB通算1104試合、打率.266、301本塁打、794打点。ソフトバンクでは苦しんだが、残した実績は色褪せない。感謝の思いを口にしているファンも多い。バレンティンの今後の成功を祈るばかりだ。(安西憲春)