戦いに挑む、若き義時。大河ドラマでしか描けない、迫力のある合戦シーンも見どころの一つとなっている(写真提供/NHK)
戦いに挑む、若き義時。大河ドラマでしか描けない、迫力のある合戦シーンも見どころの一つとなっている(写真提供/NHK)

 数々の映像作品や舞台で活躍され「天地人」の石田三成役をはじめ「八重の桜」(吉田松陰役)や「西郷どん」(坂本龍馬役)などNHK大河ドラマでの熱演も記憶に新しい小栗旬さん。9日から始まる「鎌倉殿の13人」では主役・北条義時として日々、撮影に臨んでいる。源平の争乱と鎌倉幕府の真実を特集した週刊朝日ムック『歴史道 Vol.19』では小栗さんにインタビュー。今作「鎌倉殿の13人」の見どころや撮影中の裏話などをうかがった。

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――2020年6月にクランクイン後、半年ほど経ちましたが、撮影中はどんな心境で臨んでおられますか?

 毎日のように撮影が続いていますが、居心地のいい現場での芝居は、仕事する感覚ではなく、なんか生活の一部になったみたいで「なるほど、ライフワークってこういうことなのか」と感じています。

 ずっと一緒にいるので、現場では北条家というファミリーの結束が強まっているように感じます。姉上の小池栄子さん(北条政子役)、兄上の片岡愛之助さん(北条宗時役)、妹の宮澤エマさん(実衣・阿波局役)……。父の日には、北条家のみんなで父上の坂東彌十郎さん(北条時政役)に何かプレゼントしようっていうことになり、ワインをプレゼントしたんですけど、とても喜んでくれました。

――北条義時という人物については?

 義時は、もともと真っすぐな心の少年で、戦いより蔵でコメの勘定しているほうが好きというような性格でした。それが源平の争いに巻き込まれるようになっていき、いつも源頼朝の横にいるようになります。そういう過程で、だんだんと清濁を併せ呑むようになり、物凄く計算高い人になっていっているように感じます。でも、それは権力欲というよりも「家族を守るため」にそうせざるを得ない。そういうことが少しずつ積み重なって、自分でも気づかないうちに権力に染まっていく。それが歴史劇としては面白い部分ですし、逆に悲しい部分……というふうに義時の「変化」を演じています。

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「みなさんが去りゆく姿を…」