田中真弓さん(撮影/写真部・加藤夏子)
田中真弓さん(撮影/写真部・加藤夏子)

「長生きしろよ、体に気を付けろ」って言いたいです(笑)。物語の途中で、「今振っている伏線の回収は、ことによっては10年後かもしれないぞ」って思ったときに、これは長くなるぞって気が付いて。尾田っちはまだ若いですし、このまま長く続くとしたら、私は最後までできないかもしれない。そう思ったときに不安になって、当時プロデューサーだった清水愼治さんに、「私うっかり死んじゃうかもしれないんで」と相談しましたよ。私が遺言として、「ルフィの後任」を決めておけば皆さんに納得してもらえるかもって。それで息子に、「ルフィの後任を一人挙げるとしたら誰だと思う?」って聞いたんです。息子は、「野沢雅子さんしかいないなあ」って(笑)。雅子さんと共演した時にそれを伝えたら、皆で大笑いした後、雅子さんが、「真弓、やるよ」って(笑)。雅子さんが確かにそう言ってくれたんです。

――長く務めるために心がけていることはありますか。

とにかく無理はしないことです。40代は腰の手術もして、一番体を壊していたんですけれど、初めて腰を痛めた時に無理やり頑張ってしまい、とことん悪くして。そうやって失敗するうちに、これ以上やると大変なことになるっていう加減がわかってくる。腰って、大声を出すと後ろにずれるんですって。今は腰を痛めないように、大声を出すときは「すみません、座らせてください」って言うようにしています。声も、40代の時にひどく枯らしたんです。ちょうどクロコダイルとの最終戦の時で、まったく声が出なかった。クロコダイル役の大友龍三郎さんの声がまた、低くてすごくいい声でね、最終戦に勝てる気がしない(笑)。向こうも今の真弓に負ける気がしないって言っていました。ただ、戦いの後、ボロボロのルフィがかすれ声で「いいよ」って言うシーンは、声が出なかっただけなんだけれど「いい芝居だったよ」ってほめられました(笑)。

――物語は佳境に入っていますね。

残り10年は切っていると思います。私はあと7~8年ぐらいかなと予想しています。

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ひとつなぎの大秘宝「ワンピース」は物としてある