ルフィ役の声優・田中真弓さん(撮影/写真部・加藤夏子)
ルフィ役の声優・田中真弓さん(撮影/写真部・加藤夏子)

アニメ『ONE PIECE』が1000話を超え、物語が盛り上がりを見せている。声優の田中真弓さん(66)はルフィ役を務めて22年。AERAdot.のインタビューに応じ、20年以上前にルフィ役を引き受けたときの心境や、思いもよらぬ「ルフィ役の後任」、さらには「少年役はルフィで最後にする」という宣言まで。本人が胸中を語った。

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――『ONE PIECE』は1000話を超え、22年目を迎えました。ルフィ役を引き受けた当初は、22年も続くアニメになると思っていましたか。

『ドラゴンボール』の後に始まった番組だったので、1年で終わるアニメではないなとは思っていましたが、でもまさか、ここまで続くとは思っていなかったです。たぶん、当時は原作者の尾田っち(尾田栄一郎さん)や初代プロデューサーの清水愼治さんといえども、もっと早く終わると思っていたはず(笑)。数年間やって、違う作品を描くことも考えていたんじゃないかな。

――仕事を引き受けた当初、ルフィについてはどんな印象を持っていましたか。

ルフィに対する思い入れはあまり強くなかったんです。あと、私が今まで演じてきた少年は『魔神英雄伝ワタル』のワタルのように、もっと黒目が大きい印象だったんですが、最初にルフィの絵を見たときは黒目が小さいなって思いました(笑)

――続けていくうちにルフィに対して愛着もわいてきたのでは?

もちろん!今はあれがいいですよ。そんなルフィが大好きです。

――なぜ、ルフィ役に抜擢されたと考えますか。

ほかのメンバーが新人だったからだと思います。実はゾロとナミの声優が先に決まったのですが、彼らが新人だったからバランスをとって、残るルフィをベテランにしたと思うんです。もし池田秀一さんのようなベテランがゾロに決まっていたとしたら、ルフィは新人を使ったんじゃないかな。『ONE PIECE』は、それまで『ドラゴンボール』を放送していた枠で始まった上に、『ドラゴンボール』とまったく同じ、集英社・東映アニメーション・フジテレビの3社が携わっています。私は『ドラゴンボール』でクリリンをやっていたから、どうしてもスタッフが皆、「クリリンにしか聞こえないよお、クリリンだよお」って(笑)。主人公のルフィを新しい声優でやりたいという思いは、すごくあったんじゃないかなと思います。

――ルフィ役を引き受けた20年以上前の自分に声をかけるとしたら、どんな言葉をかけたいですか。

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「ルフィの後任候補」に挙がったまさかの声優